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姫路城完全ガイド エリア6:好古園・周辺エリア

兵庫県姫路市 / 姫路城完全ガイド・エリア6

姫路城完全ガイド エリア6:好古園・周辺エリア

日本庭園・好古園から千姫ゆかりの天満宮、城下を区切っていた中濠・外堀の門跡群まで。天守の外側に広がる姫路城のもうひとつの物語を17スポットで解説します。

エリア6/6:好古園・周辺
スポット数17カ所
好古園約3.5ヘクタール・9庭園
見どころ千姫の小径・男山千姫天満宮

エリア6では、姫路城の外側に広がる好古園や城下町の痕跡を歩きます。千姫が信仰した天満宮、彼女が眺めたとされる散策路「千姫の小径」、そして中濠・外堀沿いに点在する門跡の数々。天守だけでは見えてこない、城と城下町、信仰と暮らしのつながりに出会えるエリアです。

このサイトは実地取材で制作しています。記事が参考になった方は、サポートいただけると励みになります

エリア6のスポット一覧

兵庫県立歴史博物館

丹下健三設計、天守が映る建築

Hyogo Prefectural Museum of History at Himeji Castle

姫路城の北東、城跡の空気がまだ濃い場所に立つ兵庫県立歴史博物館。基本設計を担ったのは建築家・丹下健三です。壁面には石垣のニュアンスを、換気口には狭間(さま)の意匠を忍ばせ、ティーラウンジのガラス面には天守の姿が映るよう設計されています。ロビーでは1/15スケールの姫路城模型が迎え、「姫路城大解剖」など城の”予習”にも”復習”にもなる展示が並びます。

築造年昭和57年(1982)竣工/昭和58年(1983)4月1日開館
築造者兵庫県(建設)/基本設計:丹下健三
構造・特徴姫路城をモチーフにした設計(石垣を思わせる壁面、狭間を表す換気口、ガラス面に天守が映る撮影ポイント)
改修・復元歴平成8年:常設展示改装/令和5年:大規模改修後にリニューアルオープン
アクセス

住所:〒670-0012 兵庫県姫路市本町68番地
との四門から徒歩6分(約400m)

見学の目安

短時間での見どころ:約30分/じっくり観光するなら:約60分

見どころ
  • ガラスに映る”もうひとつの姫路城”:丹下健三の設計意図が最もドラマチックに立ち上がる名場面です。
  • 「姫路城大解剖」で城の芯に触れる:模型や資料で城を”構造から”理解できる導入展示です。
特別史跡・姫路城跡内に、昭和58年(1983)に開館した「城跡の博物館」。散策ルート案内では、黒田官兵衛ゆかりの下山里の古様石垣や帯ノ櫓下の石垣を見上げつつ内堀沿いに北上する歩き方が紹介されています。

野里門跡

内城下町の北口、鍵型に曲がる中堀

Nozato Gate Ruins at Himeji Castle

姫路の内城下町の北口にあたる野里門跡。金工の町として形成された野里町に由来して名付けられたとされ、豊臣秀吉が1581年に命じた城の増改築より前から、この周辺の町の骨格が育っていたと説明されています。かつて中堀がジグザグに屈曲する場所に、二つの城門が並ぶ枡形の構成で据えられていました。外門は脇門付の高麗門、内門は脇門付の櫓門だったとされます。

構造・特徴中堀の鍵型屈曲部に設けられた枡形門。二重の城門+中庭構成/内門上に蔵。外門は東向き、内門は北向き
現存状況門は現存せず(跡地・案内板、周辺の堀や石組みが確認できる)
文化財指定姫路城:世界文化遺産/主郭部を含む中堀内側は国指定「特別史跡 姫路城跡」
アクセス

住所:〒670-0009 兵庫県姫路市鍛冶町(姫路城 中堀北東部・野里門跡)
兵庫県立歴史博物館から徒歩4分(約300m)

見学の目安

短時間での見どころ:約10分/じっくり観光するなら:約30分

見どころ
  • 鍵型に曲がる中堀の地形:門が消えても、堀の”ジグザグ”が防御の意図を雄弁に語ります。
  • 案内板と石組みの痕跡:外門(高麗門)と内門(櫓門)が直角に配置された枡形門だったことを想像できます。
この周辺の元の石垣の多くは、現代の道路や建物の下に埋もれているとされ、”見えない遺構”が今も地中で城下の輪郭を支えています。

姫路神社

最後の城主家・酒井家を祀る鎮護社

Himeji Jinja at Himeji Castle

外堀と内堀の間、城郭の北東——古来「鬼門」とされた方角に静かに座る姫路神社。御祭神は、姫路藩後期を治めた酒井家(姫路城最後の城主家)の藩祖・酒井正親です。明治12年(1879)に旧姫路藩の旧臣や大庄屋・大年寄らが発起し、藩民の奉賛で市内本町に創祀され、昭和2年(1927)に現在の姫山へ遷座しました。神社の入口は、江戸時代に八頭門と呼ばれた櫓門で、東三の丸から侵入してくる敵に備えた施設だったと神社自身が伝えています。

築造年創祀:明治12年(1879)/遷座:昭和2年(1927)
構造・特徴姫路城郭内(姫山)北東に鎮座/御祭神:酒井正親および酒井家歴代藩主/入口は八頭門(櫓門)に由来すると伝える
備考例祭日:4月12日
アクセス

住所:〒670-0012 兵庫県姫路市本町83
兵庫県立歴史博物館から徒歩7分(約550m)

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • 八頭門(やつおもん)の記憶を引く入口:城の防御施設が”参道のはじまり”へ転じたドラマを感じられます。
  • 酒井家を祀る”城主家の鎮護社”:城の歴史を「祈りの系譜」で辿れます。
境内には、1925年に稲荷神社が遷座され、1957年には姫路藩家老・河合寸翁を祀る寸翁神社が造営されたと紹介されています。

勢隠曲輪

天守の”裏側”に用意された予備の空間

Segakushi Bailey at Himeji Castle

南側の大手筋から天守へ――そんな”王道ルート”の喧騒を背に、城の北へ回り込むと空気がふっと静かになります。ここが勢隠曲輪(せがくし くるわ)。天守東部の搦手(からめて)から北側一帯に広がる曲輪で、喜斎門・八頭門・北勢隠門・南勢隠門などで区切られていました(現在、門の建物はなく石垣が残ります)。北側の内堀沿いには、石垣が屏風折れに組まれ、死角を減らす工夫が見て取れます。

1822年、姫路城内の勢隠で陸奥国南部産の馬を放牧し、有事の物資運搬に備えた記録が残ります。1919年には城内の勢隠に豊臣秀吉銅像が建てられ(現在は台座が現存)、1933年に三の丸東部と勢隠側をつなぐ通路が整備、1957年に拡幅されました。

築造年1601〜1609年頃(池田輝政の大改築期に整備)
築造者池田輝政(姫路城主)
構造・特徴天守東部搦手〜北側一帯の曲輪/喜斎門・八頭門・北勢隠門・南勢隠門で区画(門建物は現存せず石垣が残存)
改修・復元歴1933年に通路整備、1957年に拡幅/2017年の石垣修復調査で竪堀跡や刻印の発見
備考1822年に勢隠で南部産の馬を放牧/1919年に豊臣秀吉銅像建立(台座現存)
アクセス

住所:兵庫県姫路市本町68(姫路城・姫山公園北側/勢隠曲輪周辺)
姫路神社から徒歩4分(約210m)

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • 屏風折れの石垣(内堀沿い):折れを重ねて死角を減らす工夫が、”戦う城”のリアリティを実感させてくれます。
  • 北勢隠門の石垣:門の建物は失われても、曲輪の”区切り”を担った石垣が導線と防御の意図をはっきり伝えます。
勢隠曲輪は、大正期に一般公開されてから終戦までは搦手の登城口として使われていました。”観光の動線”も時代で変わってきたことが分かります。

北勢隠門跡

搦手を固めた勢隠曲輪の出入口

North Segakushi Gate Ruins at Himeji Castle

天守の北側、木立と堀に寄り添うようにひっそり口を開けるのが「北勢隠門跡」です。ここは、城の”裏”にあたる搦手側を固める勢隠曲輪の出入口のひとつ。門そのものは失われていますが、石垣が作る「くぐり口」は今も凛として、かつての緊張感をそのまま残しています。池田輝政の大改修(17世紀初頭)では、堀・石垣・門を組み合わせて侵入路を絞り、死角を減らす工夫が徹底されました。

築造年17世紀初頭(慶長期の大改修期)
築造者池田輝政(姫路藩主)
構造・特徴門建築は現存せず、門の位置を示す石垣の開口部が残る/内堀に面した防御線の一部
改修・復元歴石垣修理工事に伴う調査報告書が1995年に刊行
アクセス

住所:兵庫県姫路市本町68他(姫路城・北勢隠門跡付近)
勢隠曲輪から徒歩2分(約110m)

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • 石垣が作る”門のくぐり”:建築が無いからこそ、石垣の間口の狭さや角度がはっきり分かります。
  • 内堀と石垣の”距離感”:堀端から見上げると、天守の華やかさの裏側にある土木の強さが際立ちます。
北勢隠門周辺は石垣修理工事に伴う調査対象にもなり、報告書が刊行されています。

鷺の清水

播磨十水にも数えられた名水

Sagi-no-Shimizu at Himeji Castle

姫路城の北西、船場川に近い中曲輪の隅で、木造の小さな屋根がそっと井戸を覆っています。ここが「鷺の清水」。宝暦12年(1762)に編纂された地誌『播磨鏡』には、室町時代に播磨国守護だった赤松義村が領内の名水を選び「播磨十水」を定めたとあり、鷺の清水もその一つとされます。姫路城主・本多政朝が、京の名水「柳の清水」と鷺の清水を茶人に判定させ、「優劣つけ難い」と評されたことを喜び、井戸に上屋(井戸屋形)を掛けて「鷺の井」と名付けたという逸話が残ります。

構造・特徴井戸は東西約2.8m×南北約6m、深さ約2.5m。井戸底中央に木枠井戸を備える”二重構造”が特徴/上部に井戸屋形(覆屋)
改修・復元歴明治維新後に清水門・井戸屋形が撤去・消失→発掘調査をもとに復元
備考近代には軍・市民生活用水にも利用(昭和50年代まで上水道水源)
アクセス

住所:〒670-0012 兵庫県姫路市本町(姫路城・清水門跡付近)
北勢隠門跡から徒歩1分(約81m)

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • 井戸屋形(復元):失われた清水門枡形の中心にあった井戸の存在感を、屋根がそっと浮かび上がらせます。
  • 二重構造の井戸遺構:由来・形状の両面で”姫路城跡でも最も重要な遺構の一つ”とされています。
鷺の清水は堀の水位調整にも関わる”水利の起点”として説明され、名水=鑑賞だけでなく、城の機能そのものを支えた存在です。

姫路城 清水門跡

船場川沿いの物流と防御の要

Shimizu Gate Ruins at Himeji Castle

中曲輪の北西、船場川沿いに開かれていた「清水門」。江戸時代、この門は中曲輪から城外西方へ抜ける動線の要で、内門・外門に守られた枡形として組まれていました。外門が西向き、内門が南向きという門の据え方は、一直線に侵入させないための城門設計の知恵そのものです。「清水門」という名は、枡形内にあった名水「鷺の清水」に結びつくとされ、発掘では枡形内で井戸遺構が確認されています。

築造年17世紀初頭(池田時代に出入口成立/枡形石垣は本多時代以後の可能性)
構造・特徴船場川沿いの城門。内門・外門に守られた枡形構造(外門:西向き脇門付高麗門/内門:南向き脇門付櫓門)、外門内に番所
改修・復元歴2011年10月〜2012年3月頃:石垣の解体修理(可能な限りオリジナル石材を使用)
アクセス

住所:兵庫県姫路市本町68(姫路城内・中曲輪西側北方)
鷺の清水から徒歩1分(約23m)

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • 枡形の”角度”が語る防御設計:外門(西)→内門(南)へ折れ曲がる配置は、侵入を直進させない城門の定石です。
  • 石垣の内部構造に触れる視点:修理・解体調査で、栗石層や砂層など排水・締固めの工夫が確認されています。
2008年の調査では、城内で類例のない「傘形」の刻印が石垣で確認され、意味は今後の課題とされています。

男山千姫天満宮

千姫が城内から遙拝した天神さま

Otokoyama Senhime Tenmangū at Himeji Castle

姫路城の北西の小高い丘・男山。石段を上がった中腹に現れる小さな社が男山千姫天満宮です。豊臣秀頼の正室から一転、徳川家の姫として生き直した千姫。本多忠刻との再婚を機に姫路へ入り、西の丸で過ごした千姫は、信仰していた天神(菅原道真公)を、元和9年(1623)3月に男山へ遷し祀ったと伝えられます。城内から遙拝できるよう東向きに造営されたという説明が残ります。

築造年元和9年(1623年)3月(創建)
築造者千姫(本多忠刻のもとへ入府後、本多家の繁栄を願い建立したと伝わる)
構造・特徴男山中腹の小社。城内から遙拝できるよう東向きに造営/祭神:天満天神(菅原道真公)
改修・復元歴平成14年(2002年)4月:社殿新築
アクセス

住所:〒670-0021 兵庫県姫路市山野井町1-3
清水門跡から徒歩5分(約350m)

見学の目安

短時間での見どころ:約15分/じっくり観光するなら:約40分

見どころ
  • 東向きの社殿と”遙拝”の物語:城内(西の丸)から朝夕に拝めるよう東向きに造営されたと説明されています。
  • 唐破風造りの社殿(2002年新築):曲線が美しい唐破風が男山の緑に映えます。
全国から絵馬に”愛の願い”を託して神前に掛けられている、と紹介されています。千姫は姫路城の西の丸で過ごし、城内から遥拝できるよう社殿は東向きに造営されたと説明されています。

千姫の小径

西の丸を見上げる水辺の散策路

Sengoku no Komichi at Himeji Castle

好古園のさらに外側に出ると、西部中濠と船場川のあいだを南北にのびる散策路が現れます——それが千姫の小径。両側に水が寄り添い、桜やモミジが季節の光を落とし、水辺にはシラサギがたわむれると公式にも紹介されています。小径を歩くと、右手(城側)に千姫が本多忠刻と過ごした西の丸の建物群——化粧櫓や長局(百間廊下)——の白壁を見上げる格好になり、それが名付けの由縁になったと紹介されています。

姫路市の「景観遺産」では、船場川沿いの千姫の小径の桜が登録され、見頃は例年4月上旬〜中旬頃と案内されています。

構造・特徴西部中濠と船場川の間に南北にのびる土の遊歩道。桜・モミジが植えられ、水辺と一体になった散策路
文化財指定姫路城:世界文化遺産/桜は姫路市「景観遺産」登録
アクセス

住所:兵庫県姫路市本町(好古園西隣り/姫路城西側)
男山千姫天満宮から徒歩5分(約350m)

見学の目安

短時間での見どころ:約20分/じっくり観光するなら:約45分

見どころ
  • 二つの水に挟まれた”土の小径”:西部中濠と船場川に挟まれて歩く体験が、城下の水の設計を肌で理解させてくれます。
  • 西の丸を見上げる視点:化粧櫓や長局の白壁を”外から見上げる”ことで、千姫の物語が風景の中に重なります。
千姫の小径は”城の裏道”ではなく、城の水辺(堀と川)のあいだに伸びる、姫路城の外郭の成り立ちを感じる散策路として紹介されています。

市ノ橋門跡

材木町へ通じる城下への入口

Ichinohashi Gate Ruins at Himeji Castle

西の城下へ抜ける”町への入口”——それが、市ノ橋門。かつて外堀として機能した船場川に架かる橋を守り、城と西側の町を結んだためこの名が付いたといいます。橋の向こうは今も材木町として知られ、木工や大工が集った土地。門は外門と内門の”二重構え”で、内庭を挟み、内門をわざと斜めに据えて敵の突進を鈍らせる仕掛けでした。門跡付近には、男山の千姫天満宮を見つめるように立つ小さな千姫像があります。

築造年江戸初期(池田輝政の大改修期〈1601〜1609〉に整備が進み、のち本多忠政期に西側防備が強化)
構造・特徴外門+内門の二重門、内庭(中庭)を介し内門は斜め配置/内門上に土蔵、先に番所
改修・復元歴本多忠政の船場川改修に連動し、川と石垣の間に新たな堀を設け二重堀化
アクセス

住所:兵庫県姫路市材木町(市之橋付近/姫路城西側)
千姫の小径から徒歩7分(約550m)

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • “斜めの内門”を想像する石垣線:二重門+内庭、内門を斜めに据える設計思想を、残る石垣のラインから読み解けます。
  • 材木町と鷹匠の暮らしの気配:門の外は職人の町。鷹匠がここから登城したという背景が伝わっています。
本多忠政の川改修で、西側は二重堀に。外枡形の石垣が”堰”として水位管理にも効く、攻守一体の水の設計だったとされます。

好古園

西御屋敷跡に整備された回遊式日本庭園

Kōkoen Garden at Himeji Castle

「好古園(こうこえん)」は、姫路城の南西、かつての「西御屋敷」跡に整備された本格的な日本庭園で、1992年に姫路市制100周年を記念して開園しました。総面積は約3.5ヘクタール(東京ドームの約0.75個分)で、9つの異なる趣の庭園が巧みに配置された回遊式庭園となっています。庭園の設計には、茶庭、池泉回遊式庭園、築山林泉など日本庭園の粋が集められ、姫路城の白壁や石垣を借景に取り込んだ構成が高く評価されています。

開園年1992年(姫路市制100周年記念)
構造・特徴総面積約3.5ヘクタール。9つの異なる趣の庭園からなる回遊式庭園。茶室「双樹庵」あり
備考庭園名の「好古」は”古(いにしえ)を好む”という意味を込めたともされる
アクセス

住所:兵庫県姫路市本町68番地(姫路城西側)
市ノ橋門跡から徒歩約3分(約240m)

見学の目安

短時間での見どころ:約30分/じっくり観光するなら:約60分

見どころ
  • 流れの平庭:中央に大池を配した広がりある庭園。石橋と姫路城を一望できる写真スポットです。
  • 茶の庭と茶室「双樹庵」:本格的な茶室があり、季節に応じた呈茶サービスも体験可能(有料)です。
好古園の敷地は、江戸時代に藩主の居所「西御屋敷」や上級家臣の屋敷地があった場所で、現在の庭園レイアウトもその城下町の区画を踏襲しています。園内の石材の一部には、姫路城修理時に取り外された石垣が再利用されている箇所もあります。

家老屋敷跡公園

姫路藩を支えた重臣たちの屋敷跡

Site of the former Karo (chief retainer) residences near Himeji Castle

「家老屋敷跡公園」は、姫路城の南西側、かつての上級武士=家老の屋敷跡に整備された公園で、城郭と城下町のつながりを肌で感じられる史跡公園です。江戸時代、姫路藩を支えた家老や重臣たちの屋敷が並び、政務・儀礼・生活の中心が城の外にも広がっていたことを示すエリアでした。現在は遺構の一部が発掘・保存されており、土塀や門跡、敷地の石積みなどが復元・整備されています。

アクセス

住所:兵庫県姫路市本町84番地(姫路城南西、好古園東隣)
好古園から徒歩約4分

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • 家老屋敷の敷地割りを再現:発掘調査をもとに復元された石積みや通路が、当時の屋敷の規模を感じさせます。
  • 静かに姫路城を仰ぐ絶好の場所:観光客が比較的少なく、姫路城を静かに眺めたい方にはぴったりの穴場スポットです。
家老屋敷跡一帯は明治時代以降に民間の土地となり、一部は学校や病院として使われていた時期もありました。園内には、当時の屋敷の間取りを示す案内板や、井戸・排水路など生活インフラの痕跡もあります。

車門跡

二重枡形が守る水運と防御の結節点

Wo-no-Mon Gate site near Himeji Castle

船場川の流れに寄り添うように、姫路城の西南端にひっそり残る「車門跡」。木橋を渡った先で敵を直角に折り曲げ、さらにもう一段、枡形を重ねる——二重枡形という防御構造が案内板にも明記されています。第一門は西向き、第二門と内門は南向き。この一帯の整備に色濃く重なるのが、姫路藩主・本多忠政の改修です。船場川を城と港を結ぶ水路へ改修し、川と石垣の間に新たな堀を設けて二重堀化しました。

築造年江戸初期(17世紀前半/慶長年間に城郭が大改修され、その後の改修で整備)
構造・特徴二重枡形の虎口(第一門・第二門・内門の配置で侵入路を屈折させる)
改修・復元歴本多忠政期に船場川改修と連動して西側を二重堀化、車門周辺も外枡形化
アクセス

住所:兵庫県姫路市本町68(姫路城跡・車門跡付近)
好古園から徒歩8分(約600m)

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • 二重枡形の”折れ”がわかる石垣線:門は消えても、屈折する石垣の角度だけで「敵を止める設計思想」が体感できます。
  • 船場川×中濠の”水の防衛線”:本多忠政期の改修で西側が二重堀化した経緯が伝わってきます。
西国街道に面して攻撃を受けやすい虎口だったため、戦闘時は門前の木橋を落として守りを固めたと解説されています。車門には、船場川から直接”船を入れるための扉”が備わっていた可能性も語られています。

埋門跡

裏鬼門を欺くために”埋められた”門

Uzumi Gate Ruins at Himeji Castle

国道2号と船場川が交わる南西側、かつて中堀に面して設けられていたのが埋門(うずみもん)。もともと切れ目のない石垣に、あとから穴を穿って入口をつくったもので、池田輝政の城郭拡張から約20年後、1620年代に追加された”後発の城門”であると説明されています。内門の直上に見張り台を載せない代わりに、門のすぐ西側に二階建ての大きな見張り台と番所を置き、城下の南西角を守りつつ西国街道の往来まで監視できたとされます。裏鬼門にあたるため平時は閉じられ、「埋められた門」と見せかけて鬼を偽る狙いがあったとも紹介されています。

築造年1620年代(池田輝政の拡張後、約20年後に追加)
構造・特徴もとは切れ目のない石垣に穴を開けて入口化/石垣上に二層櫓が特徴とされる
備考裏鬼門にあたるため平時は閉鎖され、「埋められた門」と偽って鬼を欺く意図が語られる
アクセス

住所:兵庫県姫路市本町(国道2号・船場川交差付近/姫路城 埋門跡)
車門跡から徒歩2分(約150m)

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • “後から穴を開けた”石垣の虎口:本来は連続していた石垣に開口を設けた成り立ちが、石の継ぎ目やラインから読み取れます。
  • 見張り台と番所で守る南西角:内門直上ではなく西側に二階建ての見張り台と番所を置いた配置思想がユニークです。
埋門は1620年代に追加された”後発の城門”。完成後も改良を続ける姫路城の、進化の一端を示しています。

鵰門跡

十一門の中で最も遺構が残る枡形門

Kumataka-mon Gate Site near Himeji Castle

国道2号の車音がかすかに届く南側に、石垣の”口”がぽっかりと開いた場所があります。ここが鵰門跡(くまたかもんあと)。中曲輪に設けられた十一門のうち、遺構がもっともよく残り、往時の姿を想像しやすい門跡だと紹介されています。「鵰(くまたか)」は猛禽のクマタカに由来し、近くで狩猟用の鳥を飼っていたからでは、という説が語られています。門前の土橋は、橋を浸水させることで対岸の水位を変えることができる”ダム”のような役割も担ったとされます。

構造・特徴めずらしい枡形門の形状/十一門の中でも遺構がよく残る/石垣上に櫓門がそびえ、枡形に入った敵を三方から攻撃する想定
備考城主が交代する節目には新しい大名の家臣団が鵰門から城下へ入ったと説明される
アクセス

住所:兵庫県姫路市本町(姫路城跡・国道2号沿い/鵰門跡付近)
埋門跡から徒歩4分(約300m)

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • 枡形が”石だけで分かる”門跡:門の幅や折れの意図を、建物なしで読み取れるのが魅力です。
  • 櫓門があった”高さ”を想像する石垣:石垣上に櫓門がそびえ、侵入者を狙ったと語られる地点です。
かつて中濠が残っていた昭和初めには蓮の花が美しかったと伝わります。

中濠跡

国道2号として埋め立てられた中堀

Nakabori (Middle Moat) Remains at Himeji Castle

姫路城の南側、国道2号に立つと、足元がふいに語り始めます。ここはかつて姫路城を守った中濠(中堀)の一部——「現在の国道二号線は中濠を埋めて建設された」と説明されています。中濠は、内堀の内側(内曲輪)にある天守や西の丸などの核心部と、武家屋敷や藩の公的施設が並ぶ中曲輪、町家や寺町が広がる外曲輪を隔てる”身分と機能の線”でもありました。大正元年に市長・堀音吉の施策で埋め立てが進み商業地化、昭和7年には南部の中濠がすべて埋め立てられ新国道が建設されました。

築造年慶長期(17世紀初頭)に整えられた三重の堀(内堀・中堀・外堀)の一部として形成
改修・復元歴大正元年に埋立が進み商業地化/昭和7年に南部中濠を埋め立て新国道(現・国道2号)を建設
備考昭和初めには濠が残り蓮の花が美しかったと伝わる
アクセス

住所:兵庫県姫路市本町(大手前交差点付近・国道2号/中濠跡周辺)
鵰門跡から徒歩5分(約350m)

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • 「水の城」から「道の城下」へ:国道2号が”中濠を埋めて建設された”という事実を踏まえて歩くと、何気ない車道が城郭の一部に見えてきます。
  • 土塁の城下を想像する:国道沿いの石垣は近年のもので、かつて中濠沿いは門付近以外は土塁だったとされます。
埋立は一度ではなく、大正元年の商業地化→昭和7年の新国道建設へと段階的に進んだ、と紹介されています。

姫路城 総社門跡

祭礼の日だけ開かれた”例外の門”

Soja Gate Ruins near Himeji Castle

国道2号の車列のすぐ脇に”城”の気配がふっと立ち上がる場所——総社門跡。すぐ北に鎮座する播磨国総社(射楯兵主神社)へ通じる筋道に面していたことから、この名が付いたと伝わります。鉄壁の警戒が常の城内でありながら、江戸時代には総社の祭礼の際に一般にも開かれた”例外の門”だったことが、このスポットの見どころです。外門・内門を組み合わせた枡形構造で、外門をくぐると高石垣にぶつかり、折れて内門へ向かう仕掛けだったとされます。

築造年江戸時代(1603〜1867)
構造・特徴外門・内門を組み合わせた枡形構造/外門は南向き・内門は東向き/門番所の設置
改修・復元歴昭和59・平成7年度の発掘調査で石垣の折れや暗渠(排水路)を検出
備考総社(射楯兵主神社)に由来する門名/江戸時代、総社の祭礼時に一般開放されたと伝わる
アクセス

住所:兵庫県姫路市総社本町(国道2号・姫路市民会館付近)
中濠跡から徒歩4分(約300m)

見学の目安

短時間での見どころ:約5分/じっくり観光するなら:約15分

見どころ
  • 残存する石垣:車の流れのすぐ脇に”城の輪郭”が残る場所です。
  • 枡形の「折れ」を想像する:外門から内門へ”曲げられる”動線を頭の中で復元すると、門跡散策が一気に立体的になります。
城内では珍しく、江戸時代に総社の祭礼時はこの門が一般に開放されたとされます。厳重な城の警戒線に”祭りの通り道”があったのです。

FAQ

姫路城の南西、かつての「西御屋敷」跡に整備された回遊式日本庭園です。1992年開園、総面積約3.5ヘクタールに9つの趣の異なる庭園が配置され、姫路城を借景に取り込んだ構成で知られます。

好古園の西隣、西部中濠と船場川のあいだを南北にのびる散策路です。千姫が過ごした西の丸の白壁を外から見上げるコースであることが名前の由来とされ、春の桜は姫路市の景観遺産にも登録されています。

好古園の見学を含めると、エリア6全体でおよそ2時間前後を見込んでください。

姫路城完全ガイド:他のエリアを見る

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姫路城 ― 日本随一の現存城郭を訪ねて – Following The Shogun~将軍の遺響~
兵庫県の中心で、いまも息づく武士の時代へ――日本中世の城郭建築の粋が詰まった「生きた傑作」を歩いてみませんか。

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