江戸東京博物館のリニューアル記念として開かれている、NHK大河ドラマ特別展「豊臣兄弟!」の東京会場。2026年9月19日に鑑賞し、荒木茶碗・破袋の見方、前期と後期で入れ替わる展示、入場時の注意、館内のコラボ御膳までまとめました。
江戸東京博物館で開催中の特別展「豊臣兄弟!」を、2026年9月19日(土)に見てきました。入場は10時ごろ。メモを取りながら特別展だけで約2時間20分かかりました。大河ドラマ『豊臣兄弟!』の主人公・豊臣秀長と、兄・秀吉にまつわる書状、屏風、甲冑、茶道具、刀剣が、全国の博物館・美術館・寺社から集められています。
大阪・名古屋に続く巡回展の東京会場で、秀吉所用の具足のように、今回の巡回では東京会場だけで公開される資料もあります。このページでは訪問前に知っておきたい会期・料金・展示替えに加え、実物を前にして「どこを見ると面白いか」を、出品番号とあわせて紹介します。出品リスト(PDF)を開きながら読むと分かりやすいです。全130件を前期・後期や会場ごとに絞り込みたい方は、出品作品130件リストもあわせてどうぞ。
東京展の基本情報|会期・料金・撮影について
| 会期 | 2026年9月15日(火)〜11月8日(日) |
|---|---|
| 会場 | 江戸東京博物館 1階特別展示室(東京都墨田区横網1-4-1) |
| 開館時間 | 9:30〜17:30(土曜日は19:30まで、11月6日は20:00まで)。入室は閉館の30分前まで |
| 休館日 | 月曜日(9月21日・10月12日・11月2日は開館)、9月24日、10月13日、11月4日 |
| 観覧料(当日) | 一般2,100円/65歳以上1,600円/大学・専門学校生1,300円/小・中・高校生と未就学児は無料(障害者手帳等をお持ちの方と付き添い2名までも無料) |
| 常設展とのセット | 一般2,740円(当日)。常設展単独の通常料金(一般800円)と特別展(2,100円)を別々に買うより160円お得です。江戸東京博物館とそのオンラインチケットのみで販売。2,100円の特別展観覧券だけでは常設展には入れません |
| 予約 | 事前予約は不要。混雑時は入場を待つ場合があります。オンラインチケットは公式チケットページ(e+・チケットぴあ等、複数の販売サイトから選べます)から購入できます |
| 撮影 | 筆者の訪問時、歴史資料の展示室内は撮影禁止でした |
※2026年9月20日時点の公式情報です。前売券・ペア券は販売を終了しています。最新情報は江戸東京博物館の公式サイトでご確認ください。
割引チケットについて:筆者が調べた範囲(2026年9月20日時点)では、「コープデリ」や「ベネフィット・ワン(ベネワン)」「ゆとりちよだ」など、特定の会員向けサービスや福利厚生を通じた割引はありましたが、それ以外に誰でも安く買える販売先は見つかりませんでした。勤務先の福利厚生サービスで扱っている場合もあるので、気になる方は確認してみてください。
「豊臣兄弟!」のチケット半券またはオンラインチケット画面を、東京国立博物館の特別展正面チケット売り場で提示すると、開創700年記念 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」(会期:2026年10月14日〜12月6日)の観覧料が割引になります。割引が使えるのは2026年10月14日〜12月6日で、ほかの割引との併用はできません。
| 一般 | 2,300円 → 2,200円(税込) |
|---|---|
| 大学生 | 1,300円 → 1,200円(税込) |
| 高校生 | 900円 → 800円(税込) |
実際に見て、大河ドラマを見ている人はもちろん、歴史好きで「教科書や図録で見た品を実物で見たい」人に向いた展覧会だと感じました。各地の所蔵先に分かれている書状・屏風・茶道具を一か所で見られるので、それぞれを訪ね歩く手間を考えると、2,100円の観覧料は安く感じました。
前期・後期の展示品の違い
東京展は前期が9月15日〜10月12日、後期が10月14日〜11月8日です。ただし、作品ごとに独自の展示期間を持つものもあります。なお、出品番号は会場の展示順とは一致しません。出品リスト(PDF)で全点を確認できます。
次の表は一部の抜粋です:このページで紹介する資料を中心に、展示期間が分かりやすいものだけを抜き出しました。前期・後期・通期に展示される資料は、表に載せたもの以外にも多数あります。全出品資料と最新の展示期間は、江戸東京博物館の特別展ページにある「展示リスト」をクリックして開くPDFでご確認ください。当サイトでは、この出品リストを検索・絞り込みできる出品作品130件リストにまとめています。
| 前期のみ(9/15〜10/12)の例 | No.122 銀伊予札白糸威胴丸具足(秀吉所用)、No.230 豊臣秀吉自筆遺言状案、No.2 豊臣秀吉像(京都・禅林寺蔵) |
|---|---|
| 9/15〜10/4 | No.41 羽柴秀吉書置 美濃守宛(前期の最終日までではありません) |
| 後期のみ(10/14〜11/8)の例 | No.216 名物 南泉一文字、No.200 有馬湯山茶会記 |
| 長久手合戦図屏風 | No.54(豊田市博物館蔵)は9/15〜10/25、No.56(徳川美術館蔵)は10/27〜11/8に交替 |
| 通期展示の例 | No.38 賤ヶ岳合戦図屏風、No.101 御所参内・聚楽第行幸図屏風、No.190 荒木、No.195 薬師院、No.204 破袋、No.232 鯰尾藤四郎 など |
※2026年9月20日に確認した展示リストからの抜粋です。展示期間は変更される場合があるため、訪問前に最新の展示リストをご確認ください。
筆者が見たのは前期です。秀吉の具足と遺言状案を見たい人は10月12日まで、刀剣の南泉一文字を見たい人は10月14日以降が目安になります。
所要時間の目安
- 特別展:筆者は展示を細かく見てメモを取りながら約2時間20分。会場の映像も含めた時間です。
- ショップ:関連グッズが充実しているので、じっくり選ぶなら10〜15分ほどみておくと安心です。
- 常設展:江戸と東京(近現代)のゾーンに分かれ、細かく見るなら2〜3時間はかかりそうです。筆者は時間がなく、江戸のゾーンだけを見学しました。
入場時の注意点
訪問した土曜の朝は、当日券の売り場に長い列ができていました。筆者は列に並ばず、その場でオンラインチケットを購入しました。2026年9月19日に筆者が現地でオンラインチケットを購入した際は、購入直後に入口でQRコードを読み取るとエラーになり、係の方から少し待つよう案内されました。約3〜5分後には入場できましたが、エラーの原因は確認できていません。筆者の経験では、来館前に購入を済ませておけば、入口付近で購入操作をする必要がなくなります。オンラインチケットは公式チケットページからどうぞ。
2026年9月19日(土)10時ごろの訪問時は、展示室内全体に人が多く、順路の最初から見るとケースの前で待つ場面がありました。会場の案内に従いながら、空いている展示から先に見ていくと効率よく回れます。
おすすめのアプリ版音声ガイド
公式の音声ガイドは、会場で借りるレンタル版(700円、日本語)と、アプリ「聴く美術」で聴くアプリ版(800円、配信は2026年11月8日まで予定)があります。ナビゲーターは大河ドラマで豊臣秀長を演じる仲野太賀さんです。
筆者は名古屋展の際にアプリ版を購入しており、東京展に合わせて更新された音声を追加料金なしで聴けました。全部で17セクションあり、前期に訪れた時点で後期展示の資料の解説も聴けたので、後期にもう一度行くかどうかを考える材料になりました。解説を聴くと展示の見方がぐっと深まるので、少しでも多く情報がほしい人におすすめです。
アプリ版は会場の外でも聴けます。家に帰ってから展示を振り返ったり、図録と合わせて聴き直したりできるのが便利でした。また、後期にもう一度訪れて音声ガイドを聴きたい人は、アプリ版を購入しておくのがおすすめです。配信期間や利用条件は公式案内でご確認ください。アプリ「聴く美術」自体の詳しい説明は、運営会社アコースティガイド・ジャパンの公式サイトで見られます。訪問前の予習として、事前に聴いておくのも一つの方法かもしれません。
英語の解説について:入口の案内には英語表記がありました。個々の資料の解説については、英語があった場所となかった場所があったように記憶していますが、範囲までは確認できていません。なお、音声ガイドは日本語版のみで、英語版はありません。
両国駅からのアクセス
最寄りはJR総武線(駅番号:JB21)と都営大江戸線の両国駅です。筆者はJR両国駅の西口の北側(セブン-イレブンがある方)から出て、300mほど歩いて博物館の入口に着きました。駅前には展覧会の大きな広告が出ていて、博物館の方向も示されていました。筆者が2026年9月19日に歩いたJR両国駅西口北側からのルートには、屋根のない区間がありました。雨天時は傘などの雨具があると安心です。
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筆者が歩いたJR両国駅西口北側から博物館までのルート
東京の土地勘がない方へ|品川駅・東京駅からのアクセス
経路検索では、品川駅(JR横須賀線:JO17)や東京駅(JR横須賀線:JO19)から、横須賀線で錦糸町駅(JR横須賀線:JO22)まで行き、総武線各駅停車で1駅戻って両国駅(JB21)へ向かうルートが候補になる場合があります。最短ルートや所要時間は出発時刻によって変わるため、当日の経路検索で確認してください。下の地図は、品川駅から両国駅までのルート例です。
| 東京駅 | 山手線 JY01(スリーレターコード:TYO)/京浜東北線 JK26/中央線快速 JC01/総武線快速 JO19/東海道線 JT01 |
|---|---|
| 品川駅 | 山手線 JY25/京浜東北線 JK20/東海道線 JT03/横須賀線 JO17 |
| 錦糸町駅 | JR中央・総武線各駅停車 JB22/総武線快速 JO22 |
| 両国駅 | JR中央・総武線各駅停車 JB21 |
※本文に登場する駅の駅番号(駅ナンバリング)の参考情報です。
品川駅から両国駅までのルート例(横須賀線で錦糸町まで行き、1駅戻る行き方)
会場の江戸東京博物館

江戸東京博物館は1993年に開館した東京都の博物館で、開館から約30年で初めての大規模改修を経て、2026年3月31日にリニューアルオープンしました。「豊臣兄弟!」展はそのリニューアル記念の特別展です。会場は1階の特別展示室で、江戸と東京の歴史を扱う常設展示室とは別になっています。常設展もあわせて見る場合は、セット券を選んでください。
| 住所 | 東京都墨田区横網1-4-1 江戸東京博物館 |
|---|---|
| JR総武線 両国駅(JB21) | 西口から徒歩3分、東口から徒歩7分(公式案内) |
| 都営大江戸線 両国駅 | A3・A4出口から徒歩1分(公式案内) |
| 筆者が使った道 | JR両国駅西口の北側(セブン-イレブン側)から約300m。屋根のない区間あり |
| 会場 | 1階特別展示室(常設展示室とは別) |
※徒歩時間は博物館公式サイトの目安です(2026年9月20日確認)。約300mは筆者の体感による距離で、計測した値ではありません。
豊臣兄弟の歩み|天下統一と秀長の大和統治
尾張中村に生まれた秀吉と、その弟・秀長。秀吉が織田信長の家臣として頭角を現すと、秀長は兄を支えて各地を転戦し、のちに大和・紀伊などを治める大名になります。展覧会の公式解説では、秀長が大和で商人を移り住ませ、城下町を再編するなど、領国経営に力を入れたことが紹介されています。
秀長は天正19年(1591)に亡くなり、秀吉も慶長3年(1598)に世を去ります。展示はプロローグ、第1章から第5章、エピローグまでの構成で、兄弟の歩みと豊臣政権の文化を、書状・屏風・甲冑・茶道具などの実物でたどります。大河ドラマの描写と史実を区別して見ると、展示資料を楽しめます。
以下の秀吉・秀長の肖像は、京都・禅林寺に伝わる資料をもとにAIで生成したイメージです。
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向かって左は出品作品No.2「豊臣秀吉像」(京都・禅林寺蔵、東京展は前期展示)を、右は同じく京都・禅林寺の資料写真を参考に制作した秀長のAI生成イメージです(特定の出品番号に対応するものではありません)。どちらもAI生成イメージであり、展示品の実物写真や正確な復元図ではありません。肖像に描かれた人物部分は、目測で40×40cmほどの大きさでした。
会場の映像で知る秀長
会場では秀長を紹介する映像も流れていました。書状への丁寧な礼状、兄から判断を任される関係、寺社との関わりを含む領国経営、そして没後も地域で記憶され続けたことが紹介されています。展示資料を見る前後に見ておくと、秀長という人物のことがよくわかります。
展示の前に知っておきたい秀長の歩み
兄に比べると知られていない秀長の経歴を、展示資料とつながるポイントに絞って紹介します。
- 名前の変化:はじめは「長秀」と名乗り、「秀長」に改めたのは天正12年(1584)、本能寺の変の後のことです。
- 兄の代理として:天正2年(1574)には、越前の一向一揆に対していた秀吉の代わりに、伊勢長島の一向一揆攻めに出陣しています。
- 交渉役としての働き:小牧・長久手の戦いでは秀吉の名代として織田信雄との講和交渉にあたり、九州攻めでは島津方との講和の窓口にもなりました。天正14年(1586)に大坂を訪れた大友宗麟は、「内々のことは千利休に、公のことは宰相(秀長)に」と書き残しています。
- 大和の統治:大和郡山城に入り、大和・紀伊などを治めました。展覧会公式サイトでは、商人を移り住ませて城下町を再編したことが紹介されています。長谷寺の釣灯籠(No.125)は、天正16年(1588)に秀長の娘が寄進したものです。
- 最期:天正19年(1591)1月22日、郡山城で亡くなりました。享年52とされます。
展示の見どころ|4つのテーマで実物を見る
出品資料は多数あるため、ここでは筆者が特に時間をかけて見た資料を、書状と人物・屏風と出土瓦・具足・茶道具と能装束の4つにまとめて紹介します。会場内は撮影禁止のため、一部はAIで生成したイメージを使っています。
① 書状と人物|兄弟の関係と秀吉自筆の遺言状案

前期の目玉のひとつが、No.230 重要文化財「豊臣秀吉自筆遺言状案 いへやすほか宛」(山口・毛利博物館蔵)です。慶長3年(1598)8月5日付で、徳川家康ら宛の遺言状の「案」にあたります。実物を見ると、ひらがなが多いことに気づきます。筆者には、後を託す相手を頼みにしている気持ちが伝わってくるように感じられました。実物のサイズは目測で横60×縦40cmほどでした。
兄弟の関係を示す資料としては、弟・秀長(美濃守)に宛てたNo.41「羽柴秀吉書置 美濃守宛」とNo.64「羽柴秀吉書状 美濃守宛」も並びます。
- 遺言状案の文字:漢字より、ひらがなの多さに目が行きます。これは正式に送られた最終版ではなく、下書きとのことです。
- 秀長宛の2点:No.41は書置、No.64は書状。書式の違う2点から、秀吉が弟にどう接していたかがうかがえます。
- 肖像画:前期には京都・禅林寺蔵の豊臣秀吉像(No.2)も展示されます。
- No.64の日付:天正12年(1584)6月18日付で、小牧・長久手の戦いが続いていた時期の書状です。
| No.230 遺言状案 | 前期(9/15〜10/12)・重要文化財・毛利博物館蔵 |
|---|---|
| No.41 書置 | 9/15〜10/4・長浜城歴史博物館蔵 |
| No.64 書状 | 通期・田中本家博物館蔵 |
② 屏風と出土瓦|賤ヶ岳・聚楽第と城の姿
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上の3点は、No.101「御所参内・聚楽第行幸図屏風」とNo.38「賤ヶ岳合戦図屏風」を参考に制作したAI生成イメージです。展示品の実物写真や正確な復元図ではありません。
No.38「賤ヶ岳合戦図屏風」(通期)では、描かれた砦の違いに注目しました。秀長が守った田上山の砦は小さく、賤ヶ岳の砦は立派に描かれているように見えます。絵の大きさは実際の規模を示すものではありませんが、実際の砦跡を訪ねてみたくなる屏風です。屏風のサイズは目測で横350×縦170cmほどと大きく、見ごたえがあります。
No.101「御所参内・聚楽第行幸図屏風」(通期)は、建物だけでなく人々の装いにも目を向けてみてください。腰に虎の皮のようなものを巻いた人物や、細かな衣装の文様まで描き込まれています。こちらも横350×縦170cmほどの大きさで、見ごたえがあります。どちらの屏風も江戸時代の作品で、合戦や行幸の場面をそのまま写したものではありません。
- 金箔瓦:大坂城関連の金箔瓦(No.47〜50)、聚楽第周辺の大名屋敷跡から出土した金箔瓦(No.100)、郡山・大坂の瓦(No.128〜130)など。出土地がそれぞれ違うので、キャプションを確認しながら見ると、豊臣政権がどこまで及んでいたかがわかります。
- 賤ヶ岳合戦図屏風:賤ヶ岳の戦い(天正11年・1583)は、信長亡き後の主導権をめぐって秀吉と柴田勝家が争った戦いです。秀吉方の武将たちの奮戦は「賤ヶ岳の七本槍」として知られます。
- 聚楽第行幸図屏風:天正16年(1588)、後陽成天皇が秀吉の聚楽第を訪れた行幸は5日間にわたり、和歌の会も開かれました。秀吉の権勢を天下に示した行事です。
- 金箔瓦の出土地:金箔瓦は大坂城だけでなく、秀長の郡山城などからも見つかっています。瓦を手がかりに、兄弟それぞれの城を見比べてみてください。
- 大坂城の本丸図:豊臣期の大坂城は大坂夏の陣(1615年)で焼け落ち、いま地上に見える石垣や堀は徳川時代に築き直されたものです。豊臣期の城は地下に埋まっています。
- 長久手合戦図屏風:No.54(豊田市博物館蔵)が9/15〜10/25、No.56(徳川美術館蔵)が10/27〜11/8。全体の前期・後期とは切り替え日が異なります。
屏風に描かれた場所を歩くなら、秀長が守った砦を知る田上山砦跡と木之本地蔵院に加え、実際の合戦地を歩く賤ヶ岳観光ガイド、御所参内・行幸図屏風の舞台となった聚楽第跡を歩く、大和郡山・秀長ガイド、地下に眠る豊臣期の石垣を見られる大阪城 豊臣石垣館もあわせてどうぞ。
出土した金箔瓦そのものをもっと見たい方には、京都市考古資料館 訪問ガイドもおすすめです。秀吉の京都改造をテーマにした展示があり、聚楽第・伏見城から出土した金箔瓦や飾り瓦などの画像を紹介しています。
③ 具足|東京会場だけで公開される秀吉所用の甲冑
No.122 重要文化財「銀伊予札白糸威胴丸具足」(宮城・仙台市博物館蔵)は、豊臣秀吉所用と伝わる甲冑です。展覧会の案内では、秀吉から伊達政宗に与えられた品で、今回の巡回展では東京会場のみの公開と紹介されています。展示は前期(10月12日まで)だけです。
全体の華やかさだけでなく、上から下までゆっくり見てみてください。筆者は、足元の布の部分、兜に付いた動物の毛のように見える部分、金色の扇形の飾りが印象に残りました。
- 豪華な仕立て:銀箔を押した伊予札を白糸で威し、金具には菊と桐の紋が蒔絵であしらわれています。
- 熊毛の兜:筆者が「動物の毛のよう」と感じた兜は、熊の毛を植えたものです。桃山時代らしい大胆な意匠です。
- 金色の扇形:前後に付いた金色の扇形の飾りも、実物ではよく目立ちます。
- 背景:天正18年(1590)、小田原の北条氏を滅ぼした秀吉から伊達政宗に与えられたと伝わります。
④ 茶道具と能装束|荒木・破袋・薬師院を見る
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左は出品作品No.190「染付唐草文茶碗 銘 荒木」、右は出品作品No.204「伊賀耳付水指 銘 破袋」を参考に制作したAI生成イメージです。どちらも展示品の実物写真や正確な復元図ではありません。
筆者がこの展覧会で最も長く足を止めたのが、No.190「染付唐草文茶碗 銘 荒木 大名物」(愛知・徳川美術館蔵、通期)です。中国・明時代16世紀の染付の茶碗で、所蔵館によれば、荒木村重が所持したと伝わり、のちに徳川家康、尾張徳川家へと伝わりました。サイズは目測で横18×縦8cmほどで、一般的な茶碗と同じくらいの大きさでした。
見てほしいのは外側だけではありません。上部の帯、下部の絵、ひびのような模様に加えて、内側の線と、内側の底に描かれた絵まで見えます。いまなら器は簡単に手に入りますが、当時の人がこの茶碗をどれほど大切にしたのか、眺めながら考えてしまいました。
東京・五島美術館が所蔵する伊賀焼の水指で、高さ21.4cm、胴径23.7cm。所蔵館の解説によると、厚く掛かった緑色のビードロ釉は焼成中の灰が溶けたもので、背面は赤く焼き締まり、焼成時に底が焼台にめり込むように変形しています。古田織部が「今後これほどのものはない」という趣旨を書き送ったと伝わる名品です。実際に見ると、目測で30×35cmほどの大きさに感じ、思っていたより大きく感じました。
実物は、下部の凹凸や裂けたような形、耳、横に走る線が目を引きます。正面から見ただけで終わらず、ケースの周りを少しずつ移動してみてください。見る角度によって形の印象が大きく変わります。
ほかに注目したい資料- No.195「肩衝茶入 銘 薬師院」(兵庫・香雪美術館蔵、通期):秀長の所持品として明らかになっている唯一の茶入とされ、天正15年(1587)1月に秀長自らが点前をした茶会で使われました。大河ドラマの主人公・秀長ゆかりの品として見ておきたい一点です。
- 千利休と秀長:大友宗麟の「内々のことは利休、公のことは秀長」という言葉のとおり、2人は政権の取次役でした。秀長が亡くなった翌月、利休は秀吉の命で切腹しています。
- No.185 重要文化財「唐物茶壺 銘 松花 大名物」(愛知・徳川美術館蔵、通期):権力者の茶の湯を伝える大型の茶壺。
- 能装束:No.164・169は前期、No.165・167は後期に展示。豊臣兄弟が関わった能の文化を伝えます。
- 茶の湯の記録:No.203 古田織部茶之伝書は前期、No.200 有馬湯山茶会記は後期です。
漫画・ゲームで知った名物を実物で|『へうげもの』と『刀剣乱舞』
漫画『へうげもの』で戦国の茶の湯に親しんだ人には、荒木村重の所持と伝わる茶碗「荒木」(No.190)と、古田織部が高く評価したと伝わる水指「破袋」(No.204)が見逃せません。作中の描写と実物の来歴は別のものなので、会場では所蔵館の解説もあわせて読んでみてください。どちらも通期展示です。
『刀剣乱舞』のファンには、刀剣男士のモデルになった実在の名物刀が2口出品されています。後期だけの展示もあるので日程に注意してください。『刀剣乱舞』『へうげもの』『どうする家康』などにゆかりのある24件は、出品作品130件リストのメディア関連フィルタでまとめて確認できます。
| No.232 名物 鯰尾藤四郎 | 通期・愛知・徳川美術館蔵。薙刀を脇指に直した姿が鯰の尾に似ることが名の由来。秀吉から秀頼へ伝わった豊臣家の名物で、大坂落城で焼け、徳川家康のもとで初代越前康継が焼き直したと所蔵館は説明しています。刃長は目測で60cmほどでした。 |
|---|---|
| No.216 名物 南泉一文字 | 後期(10/14〜11/8)のみ・重要文化財・愛知・徳川美術館蔵。鎌倉時代の無銘の刀です。筆者は前期に訪れたため実物は見ていません。 |
千成瓢簞(No.44・通期):秀吉の馬印として知られ、戦に勝つたびに瓢簞を増やしたと伝えられます。展示されているのは江戸時代の品です。
館内でもう少し楽しむ|ドラマ展示・ショップ・コラボ御膳・家康像
歴史資料の展示室は撮影禁止ですが、館内には大河ドラマ関連の展示やフォトスポット、特設ショップ、コラボメニューもあります。あわせて立ち寄ってみてください。
大河ドラマの美術展示とフォトスポット

館内の通路には、秀吉と秀長の肖像を配した大型パネルや、ドラマの主要人物の等身大パネルが置かれ、来館記念の撮影スポットになっていました。
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館内には、大河ドラマ『豊臣兄弟!』の美術制作を紹介する展示があります。リアルなセットとCG・VFX、バーチャルプロダクションを組み合わせた撮影の仕組みが、パネルと大型画面で紹介されていました。
ここは撮影OK|長浜城内を再現したエリア

館内には、秀吉が初めて城持ち大名となった長浜城の内部を再現した実物大の空間があり、大型の映像と組み合わせて紹介されていました。歴史資料の展示室内は撮影禁止でしたが、このエリアは撮影が可能です。記念に一枚残しておきたいスポットです。
特設ショップ|図録・関連書籍と豊臣グッズ

特設ショップには、図録や豊臣政権・城郭に関する書籍のほか、文具や布製品、湯のみ、菓子などが並んでいました。会場の出口を出てすぐの場所にあるので、展示を見終えたら自然に立ち寄れます。品数が多いので、じっくり選ぶなら10〜15分ほどみておくとよいでしょう。
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コラボ御膳「2色せいろ飯 兄弟御膳」|和ダイニング こよみ

館内のレストラン「和ダイニング こよみ」では、特別展とのコラボメニュー「2色せいろ飯 兄弟御膳」を食べました。ひとつのせいろの中で、海老天・錦糸卵・わらび餅が兄・秀吉を、鶏の照り焼き・栗とさつまいも・柿なますが弟・秀長を表しています。筆者が注文した日の価格は2,800円で、限定20食と案内されていました。公式ページは和ダイニング こよみで確認できます。
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金色に見えるのは金粉ではなくきな粉で、わらび餅自体も抹茶わらび餅でした。抹茶のほろ苦さと、きな粉のくどくない優しい甘さが合わさって、なかなかおいしい組み合わせです。せいろのご飯には栗とさつまいもも入っており、その自然な甘みが、海老天や鶏の照り焼きの塩気とのよい対比になっていました。
卓上の案内では、提供期間は9月15日から11月8日までの予定で、揚げ野菜は仕入れにより変わる場合があるとのことでした。価格や提供状況は変わることがあるので、当日お店でご確認ください。
混雑と、お店の場所筆者が訪れたのは14時ごろでしたが、すでに列ができており、席に着けたのは14時30分。店員の方からは、この限定メニューは残り2食とのことでした。食べたい方は早めに行くことをおすすめします。また、お店の場所はやや分かりにくく、博物館の線路側から見て奥になります。下の地図を参考にしてください。
「和ダイニング こよみ」の場所
博物館北側の徳川家康像

博物館の北側の緑地には、笠をかぶり、左手に鷹を掲げた鷹狩姿の徳川家康像が立っています。豊臣兄弟の時代のあとに江戸を開いた家康の像なので、展覧会の帰りに立ち寄ると、豊臣から徳川へと続く時代の流れを感じられます。
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台座の銘板には、江戸消防記念会による建立の趣旨と像の構成が記されています。像は高い石柱の上に立ち、足元を大きな亀の造形が支えています。
家康が築いた江戸の城跡を歩くなら、江戸城跡(皇居)完全ガイドもどうぞ。
展示からゆかりの地へ|関連記事
大阪展・名古屋展の記事は、それぞれの会場で開かれた展示の訪問記録です。会場ごとに出品資料や撮影の条件が異なるため、東京展の情報はこのページでご確認ください。名古屋展・大阪展で見た作品と東京展の差分は、出品作品130件リストの会場フィルタで確認できます。
よくある質問
2026年9月15日(火)から11月8日(日)まで、江戸東京博物館1階特別展示室で開催されます。休館日は月曜日(9月21日・10月12日・11月2日は開館)と、9月24日・10月13日・11月4日です。
筆者はメモを取りながら細かく見て、特別展だけで約2時間20分かかりました。ショップに10〜15分、常設展もあわせて見るならさらに2〜3時間ほどみておくと安心です。
筆者が訪れた2026年9月19日は、歴史資料の展示室内は撮影禁止でした。館内のドラマ関連展示やフォトスポットでは記念撮影ができました。
事前予約は不要です。ただし筆者が訪れた土曜の朝は当日券売り場に長い列ができていました。オンラインで購入した直後は入口でQRコードがすぐに読み取れず少し待ったため、来館前に購入しておくのがおすすめです。
秀吉所用の具足(No.122)と秀吉自筆遺言状案(No.230)を見たいなら前期(10月12日まで)、名物 南泉一文字(No.216)を見たいなら後期(10月14日以降)です。荒木・破袋・鯰尾藤四郎などは通期で展示されます。すべての出品資料と展示期間は、江戸東京博物館の特別展ページにある「展示リスト」(PDF)で確認できます。前期と後期で何が入れ替わるかを一覧で見るなら、出品作品130件リストが便利です。
特別展の観覧券(一般2,100円)だけでは常設展には入れません。両方見る場合は、特別展と常設展のセット券(一般2,740円、江戸東京博物館とそのオンラインチケットで販売)が用意されています。
筆者が訪れた2026年9月19日(土)10時ごろは、当日券の売り場に長い列ができ、展示室内も全体に人が多く、順路の最初ではケースの前で待つ場面がありました。混雑は日や時間帯によって変わるため、オンラインチケットを事前に購入し、空いている展示から見ていくのがおすすめです。
筆者が調べた範囲(2026年9月20日時点)では、コープデリやベネフィット・ワン(ベネワン)、ゆとりちよだなど、特定の会員向けサービスや福利厚生を通じた割引のみで、誰でも安く買える販売先は見つかりませんでした。常設展もあわせて見るなら、別々に買うより160円安いセット券(一般2,740円)があります。
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