日本橋の三井記念美術館で、三井家に伝わった茶碗100件を並べる館蔵品展。古田織部が所持したと伝わる《須弥》、国宝《卯花墻》、《鵺》の鑑賞記録と、料金・割引・行き方をまとめました。
東京・日本橋の三井記念美術館(三井本館7階)で、「館蔵の茶碗100撰―国宝から手造茶碗まで―」が2026年11月23日(月・祝)まで開かれています。美術館が所蔵する三井家伝来の茶碗200件余りから、国宝・重要文化財を含む100件を選んだ館蔵品展です。
筆者は2026年10月24日(土)に訪れ、古田織部が所持したと伝わる大井戸茶碗《須弥》、国宝の志野茶碗《卯花墻》、樂道入の赤樂茶碗《鵺》を実物で見てきました。鑑賞にかかった時間は約1時間20分です。戦国時代の茶の湯の文化に触れたい人や、漫画『へうげもの』を楽しんだ人に向く展覧会だと思います。
| 会期 | 2026年9月12日(土)〜11月23日(月・祝) |
|---|---|
| 残りの休館日 | 11月9日・16日(月)。最終日の11月23日は開館 |
| 予約 | 不要。混雑時は入場を制限する場合あり |
| 料金 | 一般1,200円、大学・高校生700円、中学生以下無料 |
| 割引 | 公式クーポンで100円引き(他の割引と併用不可) |
| 撮影 | 原則禁止。一部の作品・展示室で可となる場合あり |
| 最寄り駅 | 東京メトロ銀座線 三越前駅A7出口から徒歩約1分 |
この記事の目次
名碗の鑑賞記録や割引だけを知りたい方は、次のリンクから進めます。
「館蔵の茶碗100撰」の見どころ|《須弥》《卯花墻》《鵺》の鑑賞記録
展示は展示室1から7まで続き、公式の出品目録では唐物茶碗(中国)、高麗茶碗(朝鮮半島)、和物茶碗(日本)、樂の茶碗、永樂の茶碗、手造茶碗の順に分かれています。最初の展示室1に重要文化財の名碗が集まり、展示室2には国宝《卯花墻》が一碗だけ置かれています。
戦国武将・茶人ゆかりの茶碗
出品目録には、戦国時代から桃山時代の武将や茶人の名を伝える茶碗がいくつも載っています。
| 茶碗 | 伝来 | 展示室 |
|---|---|---|
| 大井戸茶碗(上林井戸) | 伝豊臣秀吉所持 | 1 |
| 大井戸茶碗 銘須弥 | 伝古田織部所持 | 1 |
| 粉引茶碗(三好粉引)重要文化財 | 伝三好長慶所持 | 1 |
| 古三島茶碗(二徳三島) | 伝千利休所持 | 1 |
| 大井戸茶碗(有楽茶碗) | 伝織田有楽所持 | 3 |
| 古赤絵八仙人茶碗 | 伝佐久間不干斎所持 | 4 |
「伝〜所持」は、その人物が持っていたと伝わることを示し、作者を表すものではありません。目録に作者名が記されているのは、樂家の茶碗や本阿弥光悦の《雨雲》、野々村仁清の色絵茶碗などです。
大井戸茶碗 銘須弥(別銘 十文字)
朝鮮半島で16世紀に焼かれた大井戸茶碗で、室町三井家に伝わりました。古田織部が所持したと伝わる茶碗です。
茶碗には、1727年に大徳寺の僧が記した「十文字井戸茶碗記」が添えられています。三井記念美術館の解説によると、この記録には、もとは大きくゆがんでいた茶碗を、織部が十文字に割って小さくしたと書かれています。のちに大徳寺の天祐紹杲が「須弥」と名を改めたとも伝わります。
漫画『へうげもの』の主人公・古田織部ゆかりの一碗を、実物で見られたのは良かったです。十字に継がれた跡が残り、器肌には一部に赤みが混じっていて、味わい深い茶碗でした。
この茶碗は撮影していないため、AIイメージで雰囲気だけを示しています。実物の姿は三井記念美術館の展覧会ページで確認できます。
国宝 志野茶碗 銘卯花墻
桃山時代(16〜17世紀)の志野茶碗で、室町三井家の旧蔵品です。三井記念美術館の解説によると、美濃の牟田ケ洞窯で焼かれた茶碗で、ゆがみのある器形と、釉の下に描かれた鉄絵が特徴です。日本で焼かれた茶碗のうち国宝に指定されているのは、この《卯花墻》と《不二山》の2碗だけだそうです。
筆者も展示室2で実物を見ました。形はシンプルですが、細部まで見れば見るほど味わいが深まる茶碗でした。
実物の画像と解説は、三井記念美術館の収蔵品データベースで見られます。
重要文化財 赤樂茶碗 銘鵺
樂家3代の樂道入が江戸時代17世紀に作った赤樂茶碗で、室町三井家の旧蔵品です。三井記念美術館の解説によると、胴の黒い景色から『平家物語』の「鵺退治」にちなんで「鵺」の銘が付けられました。
《須弥》《卯花墻》と並んで筆者が気に入ったのがこの茶碗です。赤地の上に緑がかった色が重なり、その対比が見事でした。
実物の画像は三井記念美術館の展覧会ページで確認できます。
展示室1・3・5〜7のほかの見どころ
展示室1には、重要文化財の《玳皮盞(鸞天目)》(南宋時代)、樂長次郎の《黒樂茶碗 銘俊寛》、本阿弥光悦の《黒樂茶碗 銘雨雲》も並びます。展示室3は茶道具の取り合わせで、織田有楽の書状と茶杓、伝織田有楽所持の《大井戸茶碗(有楽茶碗)》が出品されています。
展示室5には樂家歴代の茶碗が続き、三井高利が所持した樂道入作の《赤樂茶碗 銘再来》もここにあります。展示室5から7には永樂保全・和全の茶碗が並び、最後の手造茶碗のコーナーでは、三井家の当主たちや紀州の徳川治宝が手がけた茶碗を見られます。
写真で見る茶碗の見方|見込み・胴・高台(展示室4)
ここからは、出品目録で展示室4に並ぶ茶碗を写真で紹介します。多くは上からと低い位置から撮った2枚を並べ、見込み(内側)、胴、高台(底の脚)を見比べられるようにしました。
珠光青磁茶碗

中国で焼かれた青磁の茶碗で、北三井家に伝わりました。内側は黄褐色に、外側は淡い灰緑色に見えます。横に広がる口縁に対して、高台は小さく作られています。展示室1の《珠光青磁茶碗 銘波瀾》とは別の茶碗です。

粉引茶碗 銘残雪

朝鮮半島で焼かれた粉引の茶碗で、北三井家の旧蔵品です。白っぽい内面には褐色の斑が散り、外面の白い化粧土には点状の褐色が見えます。口縁は大きく開いています。重要文化財の《三好粉引》(展示室1)とは別の茶碗です。

青井戸茶碗 銘瀧川

朝鮮半島で焼かれた青井戸茶碗で、北三井家の旧蔵品です。褐色の内面にも暗い外面にも、金色の繕いの線が見えます。口縁はゆがみ、器形は低く広がります。

御所丸茶碗(黒刷毛)

黒褐色と白の大きな刷毛状の模様が、外側から内側まで回り込む茶碗です。北三井家の旧蔵品で、口縁がゆがみ、胴は横に張って低く構えています。


同じ側をより近くから撮った写真です。黒白の模様のほか、腰の張りと高台付近の土の色まで見えます。
瀬戸黒茶碗 銘うたゝ寝

日本で焼かれた黒い茶碗で、北三井家の旧蔵品です。内側は黒く光り、口縁はゆがんでいます。胴は黒褐色で、凹凸と横段があり、下のほうには土の色が出ています。

色絵鱗文茶碗(野々村仁清)

野々村仁清の作で、新町三井家の旧蔵品です。内側は光沢のある黒で、口縁の下に三角形の文様が続きます。胴の上部には、赤や金色系の三角形が連なる鱗文が見えます。

仁清天目数茶碗 大徳寺三玄院伝来

野々村仁清が作り、大徳寺三玄院に伝わった、20口でひと揃いの数茶碗の一部で、室町三井家の旧蔵品です。展示では二碗のうち一つを伏せて高台を見せ、もう一つは口を上にして見込みを見せていました。


茶碗の隣には、三玄院伝来と仁清天目を示す文字のある朱塗りの箱蓋が置かれていました。
高取面取茶碗

江戸時代17世紀の高取焼の茶碗で、室町三井家の旧蔵品です。黄褐色の釉が流れる胴に、面取りによるゆるやかな稜線が見え、高台は低く作られています。
所要時間と回り方|筆者は約1時間20分
筆者が展示を見始めてから見終わるまでにかかった時間は、約1時間20分でした。訪れた2026年10月24日(土)は館内に人がいましたが、作品を見るために待つことはありませんでした。美術館は、展示室が混み合ったときに入場を制限する場合があるとしています。
展示は展示室1から7へ順に進みます。国宝・重要文化財の名碗は展示室1と2に集まり、展示室4に唐物・高麗・和物の茶碗、展示室5から7に樂・永樂の茶碗と手造茶碗が続きます。
入館は16時30分まで、閉館は17時です。筆者と同じ約1時間20分をかけるなら、15時40分ごろまでに入館する計算になります。
会期・料金・休館日と割引|予約は不要
| 会期 | 2026年9月12日(土)〜11月23日(月・祝) |
|---|---|
| 開館時間 | 10:00〜17:00(入館は16:30まで) |
| 休館日 | 月曜日(9月21日・10月12日・11月2日・11月23日は開館)、10月13日(火)。11月6日以降の休館日は11月9日・16日 |
| 一般 | 1,200円 |
| 大学・高校生 | 700円(通学定期を購入できる学生証が必要。コピーと期限切れは不可) |
| 中学生以下 | 無料 |
| 70歳以上 | 1,000円(年齢の証明が必要) |
| 障害者手帳 | 本人と介護者1名まで無料(ミライロIDも可) |
| 2回目以降 | 会期中の入館券の半券を見せると、一般1,000円・大学・高校生600円 |
| 予約 | 不要。混雑時は入場を制限する場合あり |
| 音声ガイド | 日本語のみ、800円。ナレーションは声優の保村真さん |
入館券の買い方
筆者は当日、美術館の受付で入館券を買いました。予約なしで入れます。2026年11月6日に調べた範囲では、アソビュー!・KKday・JTBで本展の入館券のオンライン販売は見つかりませんでした。
使える割引|公式クーポンと「秋の三館 美をめぐる」
三井記念美術館のホームページに、入館料が100円引きになるクーポンが載っています。筆者は訪問後にこのクーポンを知りました。これから行く方は活用してください。
- 一般・学生とも100円引き。本展なら一般1,100円、大学・高校生600円になります
- スマートフォンでクーポンの画面を受付に見せるか、印刷して持参します
- 1枚につき1人1回。ほかの割引とは併用できません
- 対象は館蔵品展と特別展です。使う前にホームページで最新の掲載を確認してください
根津美術館や五島美術館も回る人は、3館による「秋の三館 美をめぐる 2026」も使えます。対象は本展、根津美術館の特別展「舞楽装束」(10月24日〜11月23日)、五島美術館の特別展「室町ごころの風景」(10月27日〜12月6日)の3展です。
- どれか1館で観覧した入館券を、ほかの2館で入館料を払うときに見せると100円引き
- 割引は1人につき各展1回。ほかの割引とは併用できません
- 3館すべての観覧済み入館券を集めると、指定の次回展から一つを1人1回無料で見られます。三井記念美術館では「国宝 雪松図と四季」が対象です
撮影について
三井記念美術館では、展示室内での写真・動画の撮影と録音は禁止です。ただし展覧会によっては、一部の作品や展示室で撮影できる場合があります。この記事の茶碗の写真は訪問時に撮影したもので、出品目録ではいずれも展示室4の作品です。撮影できる範囲は、会場の表示に従ってください。
会期が終わったあとは
本展は2026年11月23日(月・祝)で終わります。次の展覧会は「国宝 雪松図と四季」(2026年12月12日〜2027年1月30日)です。休館日は月曜日(1月4日・11日は開館)と、12月28日〜1月3日の年末年始です。本展の茶碗が会期後も展示されているとは限らないため、訪れる前に三井記念美術館の公式サイトで確認してください。
料金・開館時間・休館日は、2026年11月6日に三井記念美術館の公式サイトで確認した内容です。
行き方と入口|三越前駅A7・東京駅日本橋口から
美術館は三井本館の7階にありますが、入口は隣の日本橋三井タワー1階のアトリウムにあります。筆者は三越前駅から向かいました。公式の案内では、東京メトロ銀座線 三越前駅のA7出口から徒歩約1分です。
アクセス
| 住所 | 東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階 |
|---|---|
| 入口 | 日本橋三井タワー1階アトリウム |
| 銀座線 三越前駅 | A7出口から徒歩約1分 |
| 半蔵門線 三越前駅 | 徒歩約3分(A7出口から約1分) |
| 銀座線・東西線 日本橋駅 | B9出口から徒歩約4分 |
| 都営浅草線 日本橋駅 | 徒歩約6分(B9出口から約4分) |
| JR東京駅 | 日本橋口から徒歩約7分 |
| JR神田駅 | 南口から徒歩約6分 |
| JR総武快速線 新日本橋駅 | 地下で直結。三越前駅方面へ徒歩約4分 |
| 無料巡回バス | メトロリンク日本橋「三井記念美術館」下車、徒歩約1分 |
| 駐車場 | 専用駐車場なし |
| 問い合わせ | ハローダイヤル 050-5541-8600 |
訪問時は、屋外に入口の方向を示すポスターがあり、アトリウムの中にも展覧会の案内と「入口」の表示が置かれていました。
写真をタップすると拡大します(2026年10月24日撮影)
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よくある質問
予約は不要で、当日に受付で入館券を買えます。展示室が混み合ったときは、入場を制限する場合があります。
筆者は展示を見始めてから見終わるまで約1時間20分でした。入館は16時30分までなので、同じくらいの時間をかけるなら15時40分ごろまでに入館する計算です。
出品目録では、展示室2に出品されています。筆者は2026年10月24日に実物を見ました。目録には開催内容を変更する場合があると記されているため、最新の情報は公式サイトかハローダイヤル(050-5541-8600)で確認してください。
展示室内での撮影は原則禁止ですが、展覧会によっては一部の作品や展示室で撮影できる場合があります。撮影できる範囲は、会場の表示に従ってください。
公式サイトのクーポンを受付で見せると、一般・学生とも100円引きです(1人1回、他の割引と併用不可)。根津美術館・五島美術館の対象展の入館券を見せる「秋の三館 美をめぐる 2026」でも100円引きになります。会期中に2回目以降訪れる場合は、半券を見せると一般1,000円です。
最寄りは東京メトロ銀座線 三越前駅で、A7出口から徒歩約1分です。JR東京駅からは日本橋口から徒歩約7分です。入口は日本橋三井タワー1階のアトリウムにあり、展示は三井本館の7階です。

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