金沢城ガイド Vol.2

金沢城の“顔”を、見るだけでなく体感へ。
河北門から三の丸広場、橋爪橋を経て橋爪門へ続く王道ルートを、360度パノラマで没入的に巡れます。枡形構造や続櫓、番所の再現など、復元で蘇ったディテールをじっくり鑑賞。期間限定のライトアップや無料の内部見学もあり、歴史ロマンと写真映えを同時に叶えるスポットです。

三の丸〜正面口(河北門・橋爪門・広場)

河北門(かほくもん)

⭐おすすめ度
 歴史的価値:☆☆☆
 視覚的魅力:☆☆☆
 体験的価値:☆☆☆

金沢城公園 河北門

河北門は、金沢城の正面にあたる“実質の正門”として機能しており、城の大手口に位置する門でした。「三御門(石川門・橋爪門・河北門)」のうちの一つとして、城郭の顔の一つです。 この門は、宝暦9年(1759年)の大火で焼失した後、安永元年(1772年)に再建されたとされ、明治時代には撤去されておりました。しかし平成時代に復元が進められ、2007年11月に着工、2010年4月に竣工して現在の姿となりました。復元時には、古絵図・古写真・文献・発掘された遺構などをもとに、戸室石の石垣、白壁の漆喰、木構造や鉛瓦など、可能な限り伝統技法での再現がなされています。また、「一の門(高麗門)」「二の門(櫓門)」「枡形・土堀」「ニラミ櫓台」の組み合わせで、防御性を兼ね備えた構成となっています。
前田利家やその子孫たちの時代には、城の正門として藩主や参勤交代、公式な来訪者の通行が想定され、この門を通る場面もあったことでしょう。再建後も、城の格式や防備を象徴する存在として、城郭整備の要として重視された門といえます。

中に入り見学可能です。

パノラマ写真

築造年 安永元年(1772年頃 再建)
築造者 加賀藩・前田氏支配下で再建
構造・特徴 高麗門(一の門)+櫓門(二の門)+枡形構造+続櫓・ニラミ櫓台付き
改修・復元歴 明治期撤去 → 平成19年起工 → 平成22年復元竣工
現存状況 復元構造として現存・公開中
消滅・損壊 明治15年頃撤去され消滅していた時期あり 
文化財指定 現状では文化財建造物としての指定についての明記は公開資料に記載なし
備考 復元にあたり、当時の遺構・文献を尊重した設計がなされた 

🗺 住所:石川県金沢市丸の内付近
🚶 アクセス
前のスポット「三の丸北園地」から目の前にあり。城郭内の散策ルートを通って徒歩1分。

⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約 5分
じっくり観光するなら:約 30分(門の構造や門内見学含む)

📍 見どころ

  • 一の門(高麗門)構造:白壁と高麗門形式の扉を通って内部へ入る入口部
  • 二の門(櫓門)+枡形構造:門を入ると直角に曲げられる枡形構造で敵を取り囲みにくくする設計
  • ニラミ櫓台・続櫓機能:見張りや防衛を大意した櫓台や続櫓機能を兼ね備える構成
  • 内部見学:二の門部分の内部は能登ヒバなどの木材で復元され、見学可能(無料) 
  • 昼夜の景観:白壁と石垣のコントラストが映える昼景、夜間照明が入る時間帯もあり(期間限定)

📌 トリビア

  • 復元まで130年ぶり:明治期以降消失していた河北門は、平成期に入ってから約130年ぶりに復元されました。
  • 復元事業の参加型寄付:復元にあたって壁板や瓦の裏面に県民の名前やメッセージを入れる参加型施策が行われました。
  • 武具保管機能の推定:江戸期には弓奉行の管理下にあり、弓具などの武具が収納されていたと推測されています。
  • 枡形設計の工夫:枡形構造で直線的な侵入を防ぎ、曲げながら進ませることで守備力を高める設計が施されていました。

三の丸広場(さんのまるひろば)

⭐おすすめ度
 歴史的価値:☆
 視覚的魅力:☆☆
 体験的価値:☆

金沢城公園 三の丸広場

「三の丸広場」は、河北門を抜けると開ける緑豊かな芝生の広場で、城郭の中心部に近づいたことを感じさせる開放感ある空間です。金沢城公園の散策ルートの中でも目安となる場所であり、城の建造物が並ぶ拠点としての橋爪門・五十間長屋・菱櫓などを視界に入れつつ、当時の城域の広さを実感できる空間が残されています。

江戸時代、三ノ丸内部には重臣の屋敷が設けられていた時期もありましたが、のちにそれらは城外へ移され、その跡地には警備を担当する高知番所・物頭番所が置かれたといいます。

また、北東側の周辺には「九十間長屋」も築かれ、弓・鉄砲など武器の保管施設として使われた構想もあったとも伝えられています。

パノラマ写真

築造年——(建築物ではなく空地・広場)
築造者——
構造・特徴芝生広場・城内郭域
改修・復元歴公園整備により整然と整備
現存状況城跡広場として現存
消滅・損壊なし(建物はもともと存在しない)
文化財指定建造物ではないため指定なし
備考城の中心部に近づく入口的広場。イベント会場としても利用実績あり

🗺 住所:石川県金沢市丸の内1−1
🚶 アクセス
三の丸北園地や石川門からみて河北門の左側に広がっています。

⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約 5~10分(散策中の通過点として)
じっくり観光するなら:約 20分(周囲の門・櫓建築を眺めながら)

📍 見どころ

  • 芝生広場と視界の開放感:城の内部に入ったことを感じさせる空間。建物がない分、敷地の広さを実感できる
  • 門と建築の配列:前方に橋爪門・五十間長屋・菱櫓などの建物を望め、城の「核」部分へと導く視線構成
  • イベント空間としての用途:コンサートや集会など、広場としての利用実績もあり
  • 移りゆく季節との調和:春の緑、秋の紅葉、青空のもと建築とのコントラストが美しい

📌 トリビア

  • 城郭の構造への誘導:河北門を抜けてすぐこの広場に導かれる設計で、訪問者の視線が自然に城の核心に向くように意図されていた可能性が高い
  • 武器保管との関連構想:北東側には「九十間長屋」が構想され、弓・鉄砲を保管する施設が置かれる予定だったとの伝承もありました。
  • 昔と今のギャップ:江戸期には家臣屋敷などが立ち並んでいた場所だが、今は広い芝の広場に変容しており、その変化を読み解く楽しみもある

橋爪橋(はしづめばし)

⭐おすすめ度
 歴史的価値:☆☆
 視覚的魅力:☆☆
 体験的価値:☆☆

金沢城公園 橋爪橋

「橋爪橋(はしづめばし)」は、橋爪門(一の門)へ渡るための小さな木橋で、内堀をまたいで門前空間をつなぐ役割を果たしていた橋です。現在、復元された橋爪門および続櫓と一体的に整備され、「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓」とともに金沢城の主要な景観要素として、夜間照明を含めて見せ場のひとつになっています。

パノラマ写真

築造年復元整備による再構築(2013年)
築造者/復元者加賀藩当時の設計を参考に、金沢城復元整備事業
構造・特徴木造の板橋形式、アーチ的な形状を持つ橋。欄干支柱は伝統的な様式を取り入れている。
改修・復元歴橋爪門などの復元にあわせて橋も再設計・再建。金沢大学移転事業の一環で再整備。
現存状況復元構造として現存・公開中
消滅・損壊江戸・明治以降の消失後、長期間橋は残らなかった
文化財指定建造物としての個別指定記載なし(城跡全体は国指定史跡)
備考夜間照明のライトアップの対象となっており、城門とともに風情を醸すポイント。

🗺 住所:石川県金沢市丸の内付近
🚶 アクセス
橋爪門・続櫓方面エリアへ入るルート上、橋爪門のすぐ手前に架かる橋として位置。三の丸広場や河北門方面から城内部を巡りながらアクセスできます。

⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約 5 分
じっくり観光するなら:約 10 分

📍 見どころ

  • アーチ的な木橋の形状:優雅な曲線を描く橋桁が、堀と石垣と門との対比を演出
  • 建築との連続性:橋を渡ると門に入る視線の流れを設計に取り込んだ構成
  • 夜間ライトアップ:橋爪門・続櫓と一体で照明が点き、幻想的な風景を作る演出にもなっている
  • 撮影スポット:橋の上から門・櫓を臨む構図で、城の主要建造物群を写真に収めやすいポジションとして人気

📌 トリビア

  • 復元にあたっての木工技術:伝統的な木橋構法を参考として、欄干支柱など細部に工夫を取り入れて復元されたという記録があります。
  • 金沢城三御門との演出構図:石川門・河北門と並ぶ三御門の一角として、橋を介するアプローチが城門の威厳を際立たせる演出とされています。
  • 長らく失われていた橋:明治以降、橋爪門とともに橋も姿を消し、近年の城復元整備で再び架けられたものです。

橋爪門(はしづめもん)

⭐おすすめ度
 歴史的価値:☆☆
 視覚的魅力:☆☆☆
 体験的価値:☆☆

金沢城公園 橋爪門

橋爪門は、金沢城において 二の丸への正門 として機能していた門で、城内でも最も格式が高い門とされています。「三御門(石川門・河北門・橋爪門)」の一つに数えられ、城の中枢部へ進入する入口として、慎重な通行が行われた設計が施されていました。

構造的には、「高麗門形式の一の門」「枡形(ますがた)構造」「櫓門形式の二の門」「続櫓(つづきやぐら)」という複数の構成要素を備えた重層的な門構造を持っており、枡形は城内でも最大規模を誇ったとされます。 2015年(平成27年)3月に、二の門 が第2期復元整備事業として復元され、門内部には番所も再現されています。 なお、一の門(高麗門)部分は、平成13年(2001年)頃の復元で復元されています。

パノラマ写真

築造年/再建年文化6年(1809年)再建の姿を復元
構造・特徴高麗門(一の門)+枡形構造+櫓門(二の門)+続櫓
改修・復元歴文化6年再建 → 明治期以降の消失 → 平成期に復元(平成13年・平成27年)
現存状況復元構造として門・二の門・番所・続櫓が公開中
文化財指定門単体での指定は公表されていないが、金沢城遺構として史跡整備対象
備考枡形構造や番所、敷石など細部に格式性・防御性が意図された設計が見られる

🗺 住所:石川県金沢市丸の内周辺
🚶 アクセス
三の丸広場や河北門方面から城内散策ルートを進むと、「橋爪橋」を渡って、橋爪門へ至る導線上にあります。

⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約 10分
じっくり観光するなら:約 20分

📍 見どころ

  • 枡形構造:直線での進入を避けさせる工夫を凝らした城門防御の典型構造
  • 番所の再現:二の門内部に番所を設け、実際の管理機能を再現
  • 伝統的敷石:戸室石使用:格式を示す敷石構造が意図的に用いられたとの記述あり
  • 続櫓連結:門に続く櫓との連結性や見張り機能を併せ持つ構成
  • 夜間ライトアップ:橋爪門・続櫓・五十間長屋とともにライトアップ演出があることもあります

📌 トリビア

  • 格式の象徴的門:城の中でも最も格式を重んじられた門として、通行制限の厳しい場所だったと伝わります
  • 復元順序の違い:まず一の門等が先に復元され、その後、橋爪門二の門が平成27年に再建された流れがあります
  • 前田家との関連性:この門を通って二の丸御殿へ向かう構図は、藩主や公式来訪者の導線として重視されたことでしょう

次ページ

前ページ

目次ページに戻る

メインページに戻る

comment