歴史を「見る」だけでなく「体感」する時代へ。
金沢城公園の搦手に位置する「石川門」は、国の重要文化財に指定された重厚な門構えと、伝説の鉛瓦が今も息づく名所です。本ページでは、360度パノラマ写真でその全貌を没入的に体験できます。さらに隣接する「三の丸北園地」では、石垣と緑が織りなす静寂な風景が広がり、金沢城の奥深い美と構造を感じ取ることができます。
搦手アプローチ/石川門エリア
石川門(いしかわもん)
⭐おすすめ度
歴史的価値:☆☆☆
視覚的魅力:☆☆☆
体験的価値:☆

金沢城の代表的な門の一つであり、城郭遺構として現存する数少ない建造物のひとつが「石川門」です。城の搦手(からめて=裏門側)に位置し、石川郡方面へ向かっていたことからその名が付けられました。江戸時代には「三御門(さんごもん)」と呼ばれる主要門の一つともされています。
現在目にする建物は、1759年(宝暦9年)の火災で焼失した後、1788年(天明8年)に再建されたものです。 石川門は、櫓門・続櫓・高麗門・太鼓塀などいくつもの構成要素からなり、枡形構造(ますがた)を備えた重厚な門構えが特徴です。 屋根には鉛瓦(鉛を使った瓦)が使われており、かつて戦時にはその鉛を溶かして銃弾に転用できるとの伝説も伝わっています。
前田利家が金沢城に拠点を移した後、城郭整備が進む中でこの門も重要性を増しました。利家自身がこの城を拠点としたことから、城内の各門・櫓の配置や防衛構造も藩主の威信と防備を兼ねたものとして計画されていたと考えられます。
パノラマ写真
| 築造年 | 1788年(再建) |
|---|---|
| 築造者 | 前田家(当時の藩主 前田治脩期) |
| 構造・特徴 | 櫓門・続櫓・高麗門・枡形構造、太鼓塀を含む門構え |
| 改修・復元歴 | 昭和期の解体修理、維持保存工事あり |
| 現存状況 | 現存(国の重要文化財) |
| 消滅・損壊 | 1759年の火災で焼失 → 再建 |
| 文化財指定 | 1950年(昭和25年)に国の重要文化財に指定 |
| 備考 | 金沢城の重要文化財のひとつ。三十間長屋、鶴丸倉庫とともに残る城郭遺構 |
🗺 住所:石川県金沢市丸の内1−1
🚶 アクセス
最寄りバス停:「兼六園下・金沢城」下車 徒歩約4分(約300 m)
JR金沢駅から徒歩だと約30分(2.2 km)ほど。
⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約 10分
じっくり観光するなら:約 20分
📍 見どころ
- 枡形構造と門の構成:高麗門→櫓門→続櫓という複数の門構成が重厚な防御構造を伝える
- 鉛瓦の屋根:かつて銃弾材としての転用伝説を持つ瓦材で、表面の鉛白化した風合いも見もの
- 夜間ライトアップ:夜はライトアップされ雰囲気が増します(季節や時間により実施)
- 周辺景観とのつながり:兼六園や城郭の石垣と一体になった風景の中に位置する
📌 トリビア
- 裏門であった門:表門ではなく搦手(裏側)の門として機能していたことから、往時は裏方・防衛側の性格を持つ門であった
- 鉛瓦の逸話:その鉛瓦を溶かして鉄砲の弾に使えるという説が語られるが、実際にそうした記録は確証がない伝承的な話
- 三御門の一角:石川門、河北門、橋爪門の3つが「三御門」と呼ばれ、城を守る主要門のひとつとして重んじられた
三の丸北園地(さんのまるきたえんち)
⭐おすすめ度
歴史的価値:☆
視覚的魅力:☆
体験的価値:☆

「三の丸北園地」は、金沢城の三の丸エリアの北側に位置する広場的な空間で、城郭の石垣や塀が残る風景と緑とが融合した静かな見どころスポットです。往時の城域全体のスケール感や石垣の重厚さを感じながら歩くことができます。城内の複数の曲輪(本丸・二の丸・三の丸)が構成された城郭の配置を実感させる場所の一つで、散策ルートの途中で立ち寄るのに適しています。城郭の主要建造物は残存していませんが、石垣や土塁、空間の構造からかつての城の広がりを感じ取ることができるスポットです。
パノラマ写真
| 築造年 | ——(明確な建築物なし) |
|---|---|
| 築造者 | —— |
| 構造・特徴 | 石垣、塀、園地(広場空間) |
| 改修・復元歴 | 園地整備(城跡公園整備事業)あり |
| 現存状況 | 石垣・塀が現存、一部保存整備済 |
| 消滅・損壊 | 城郭建物は現存せず |
| 文化財指定 | 文化財建造物としての指定なし(遺構保存対象) |
| 備考 | 城内構造を体感できる散策空間としての価値あり |
🗺 住所:石川県金沢市丸の内
🚶 アクセス
前のスポット「石川門」から北側に進むルートで徒歩1分。城内散策ルートの途中に立ち寄る形でアクセス可能。
⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約 3分
じっくり観光するなら:約 10分
📍 見どころ
- 石垣と塀の残存遺構:園地の縁に沿って残る城壁構造をじっくり見ることができる
- 空間の広がりと眺め:開けた園地空間が城内構造を感じさせ、周囲の石垣と緑との対比が美しい
- 季節の自然:春の新緑・桜、秋の紅葉の下で、城郭遺構とのコントラストが映える
📌 トリビア
- 城郭の配置実感スポット:本丸・二の丸・三の丸といった曲輪構成を体感できる空間の一つ
- 復元より「余白」の魅力:建物は残っていないが、空間そのものを使った構成美が味わえる
- 利家・まつの時代との直結性:三の丸エリアは利家・加賀藩政期に整備された城域の一部で、城の拡張に関わる領域だった可能性が高い

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