日本初の洋式帆船を建造した地、伊東の記憶
『SHŌGUN』で描かれた青い目の侍Anjin。そのモデル・三浦按針が、日本初の洋式帆船を建造した地が静岡県伊東市です。松川沿いの「按針メモリアルパーク」や歴史温泉「東海館」など、伊東の町には按針の偉業を今に伝える史跡が点在。歴史と癒しを同時に味わえる、知的な旅をぜひ。
東京駅から伊東駅迄は、新幹線と在来線を乗り継いで約1時間ほどです。
按針メモリアルパーク

⭐おすすめ度
歴史的価値:☆☆☆
視覚的魅力:☆☆
体験的価値:☆☆
按針メモリアルパークは、伊東市の松川河口に広がる小さな記念公園です。この場所は、かつて三浦按針が日本初の洋式帆船を建造した地として知られ、彼の功績をたたえる胸像やモニュメントが設置されています。公園内には、地元彫刻家・重岡健治氏による重厚なブロンズ像が海を背景に堂々と立ち、訪れる人に往時の造船風景を想像させてくれます。按針の詳細な生涯や功績についてはメインページに譲り、この地ではその歴史的偉業の現場を実感できる静謐な空間が魅力です。
築造年 | 2000年代初期 |
---|---|
築造者 | 伊東市・野屋重岡健治 |
構造・特徴 | 胸像、帆船モニュメント、海近の広場 |
改修・復元歴 | 定期的なメンテナンス実施 |
現存状況 | 良好 |
消滅・損壊 | なし |
文化財指定 | 非指定 |
備考 | 東海館や川口公園などと同時観光が推奨 |
🗺 住所:静岡県伊東市渚町6
🚶 アクセス
最寄り駅:JR伊東駅から徒歩約15分(約1.1km)
⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約20分
じっくり観光するなら:約1時間
📍 見どころ
- 三浦按針胸像:地元重岡健治氏によるブロンズ刻。多方向から残光に照らされる様子も見所。
- 帆船モニュメント:日本初の洋式帆船をモチーフにした造形美は写真スポットにも最適。
- 季節限定の楽しみ方:春は東海館周辺の桜、夏は按針祭の灯籠流しや海上花火は必見。
📌 トリビア
- 意外な歴史的背景:按針の船が建造された地は、後に伊東温泉の開発も助けたとも言われる。
- 知る人ぞ知る情報:夜間は海近の水面や海津橋下がライトアップされ、魅力的な夜景が楽しめる。
- 著名人との関係:星野リゾートの宿泊施設「界 アンジン」は按針の名によるテーマ性の高い店。
東海館(三浦按針ゆかりの温泉旅館)

⭐おすすめ度
歴史的価値:☆☆☆
視覚的魅力:☆☆☆
体験的価値:☆☆☆
東海館は、昭和3年(1928年)開業の木造温泉旅館であり、三浦按針(ウィリアム・アダムス)が生きた時代より約300年後の施設で、直接の関係はありませんが、按針に関する展示資料が充実した「歴史の小部屋」が館内に設置されており、彼の造船功績や外交活動を学ぶ場として優れています公園や彫刻と併せて巡ることで、按針ゆかりの地としての趣が深まります。
築造年 | 1928年(昭和3年) |
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築造者 | 創業者:稲葉安太郎 |
構造・特徴 | 木造3階建/桧・杉材、変木使用、唐破風玄関、大広間・望楼 |
改修・復元歴 | 1997年営業終了後、2001年一般公開へ転換 |
現存状況 | 良好、伊東市登録有形文化財 |
消滅・損壊 | なし |
文化財指定 | 伊東市登録有形文化財 |
備考 | 館内に喫茶室・土日祝には日帰り入浴も可 |
🗺 住所:静岡県伊東市東松原町12‑10
🚶 アクセス
最寄り駅:JR伊東駅から徒歩約9分(約0.6 km)
⏳ 見学の目安
短時間で見どころを押さえる:約30分
じっくり館内散策:約1~2時間(展示・浴室・喫茶室含む)
📍 見どころ
- 唐破風の玄関:旭と鶴の彫刻装飾が目を引く、威風堂々とした意匠。
- 歴史の小部屋(三浦按針展示室):按針の年表や帆船模型、ジオラマなど充実の展示が2階に常設。
- 大広間と望楼:120畳の宴席場にある舞台と彫刻装飾、3階望楼からは伊東の景観を一望 。
- 喫茶&日帰り入浴:1階喫茶室で松川を眺めながらの一息、土日祝は総タイル張り浴場も開放 。
- お座敷文化大学:春・秋には芸者体験や舞台鑑賞など伝統文化体験が可能 。
📌 トリビア
- 按針との接点:按針の造船ゆかりの地で、当時の帆船建造の舞台を知る資料が豊富に揃う 。
- 建築の隠し技:“変木”と呼ばれる形状の面白い木材が階段欄干や窓周りに多用され、遊び心を反映。
- 著名人ゆかり:客室では東郷平八郎や伊東祐親なども紹介され、地域文化の厚みが体感できる。
豪華な木造温泉建築と歴史展示を通じて、三浦按針の存在を五感で感じられる、知的で情緒豊かなスポットです。
伊東市役所(現代的建築に歴史展示も併設)

⭐おすすめ度
歴史的価値:☆
視覚的魅力:☆☆☆
体験的価値:☆☆
伊東市役所は三浦按針に直接関係する施設ではありませんが、ゆかりの地・伊東市の中心施設として、観光案内やまちの歴史発信にも力を入れています。庁舎屋外には按針の像をはじめとした彫刻が点在し、市民ホール内では地元アートや楽しめる展示が常設されています。斜面地形を活かした劇場風の大階段や吹き抜けホールなど、建築そのものが見どころで、“美術館のよう”と評されています 。
築造年 | 不明(比較的新築のモダン建築) |
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構造・特徴 | 斜面を活かした多層構造、吹き抜けホール、大階段、屋外彫刻・からくり時計など |
改修・復元歴 | 定期的なメンテナンス実施 |
現存状況 | 良好 |
文化財指定 | 指定なし(公共施設) |
備考 | 観光案内コーナー、イベント展示、駐車場完備 |
🗺 住所:静岡県伊東市大原2‑1‑1
🚶 アクセス
最寄り駅:JR伊東駅から徒歩約30分(約2Km)または車・バスでアクセス可(駐車場あり)
⏳ 見学の目安
庁舎内・ホール見学:約15~30分
展望・イベント・大型階段などじっくり:約1時間程度
📍 見どころ
- 吹き抜け市民ホールと大階段:劇場のような空間構成で、フォトスポットにも人気 。
- からくり小人時計:ホールに設置された愉快な小人たちのからくり時計は、記念イベントでも注目。
- 屋外彫刻と按針関連像:重岡健治氏作の彫刻が広場に点在し、自然散策の延長として楽しめます。
- 伊東MAGARI雛:春の時期に大階段で雛人形飾りが催され、華やかなフォトジェニック空間に。
- 観光案内コーナー:按針メモリアルパークや東海館など、三浦按針ゆかりスポットの情報が充実。
📌 トリビア
- 建築家ビュー:「美術館のようなデザイン」と評価されるモダン庁舎。
- 斜面を活かした設計:裏側から入ると上階へ、前面からは大階段へと出る動線が特徴。
- 市民と観光の接点:観光案内以外にもイベント展示スペースとして使われ、市民の交流場にも。
歴史スポット巡りの起点や、按針関連情報の収集場所としても重宝するモダンな庁舎 — 伊東旅の意外な穴場スポットとしてもオススメです。
按針音頭歌碑(川口公園・松川遊歩道沿い)

⭐おすすめ度
歴史的価値:☆☆☆
視覚的魅力:☆
体験的価値:☆☆
川口公園は松川河口に位置し、周囲の遊歩道と連動して整備された三浦按針ゆかりの史跡群の一画です。その中で『按針音頭歌碑』は、按針研究家・牧野正氏の作詞で、三浦按針への敬愛を込めて1992年にレコーディングされた楽曲を刻んだ碑です
建立年 | 2004年(按針造船400周年記念) |
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建立者 | 按針音頭歌碑建立委員会(委員長:中村昭和) |
構造・特徴 | 石碑に歌詞と楽譜を刻印 |
現存状況 | 良好 |
文化財指定 | 非指定 |
備考 | 川口公園内、按針碑やタイル絵とセットで歩ける遊歩道沿い |
🗺 住所:静岡県伊東市渚町86-14(川口公園内)
🚶 アクセス
JR伊東駅から徒歩約14分(約1 km)
⏳ 見学の目安
短時間:約10分
ゆっくり散策を含めて:約30分〜40分
📍 見どころ
- 歌詞と楽譜付き石碑:牧野正氏の言葉で按針像を称えた歌詞と、関野幾生氏作曲のメロディ譜を刻印。
- 按針碑・タイル絵:西洋式帆船建造の場面が描かれたタイル絵や按針碑も近く、歴史を立体的に感じられます。
- 遊歩道の風情:松川沿いを散歩しながら、静かな水辺に整然と並ぶ史跡群を楽しむことができます。
📌 トリビア
- 音頭が民謡に:祭り行事で歌われるほか、盆踊り会場でも披露されるなど、市民文化に深く根付いています。
- 設立の背景:三浦按針による日本初の洋式帆船建造400周年を記念して設置された紀念碑です。
- 按針研究家の功績:作詞は市内在住・牧野正氏によるもので、地域歴史研究の成果でもあります。
松川遊歩道を散策する際にぜひ立ち寄りたいスポット。按針の功績を歌にのせて味わう、温かな町の記憶に触れるひとときです。
網代(あじろ)と『Shōgun』ドラマ撮影の舞台としての逸話
伊東市に隣接する漁港集落・網代は、三浦按針ゆかりの地域ではありませんが、近年話題の大作ドラマ『Shōgun(将軍)』(FX/Disney+)の撮影に関する興味深いエピソードが伝えられています。
同ドラマは1600年頃の日本を舞台に制作された作品ですが、実際には日本国内では一切撮影されず、すべてカナダ・バンクーバー周辺(主にMinaty BayやPort Moody )で再現されました。
その中で「網代漁港」の景観は、Port Moody近郊にある閉鎖された杉工場跡の人工入り江を舞台とし、松林や桟橋までセットとして精巧に再現されました
制作サイドは10ヶ月もの期間、セット建設やVFX対応を通じて「網代漁港」を忠実に再現。「静岡のバンクーバー」と冗談交じりに評されるほど、日本の網代観光地と重なる風情があったことも語られています。
伊東・網代の風情が、海を越えて一大ドラマセットとして息を吹き返した——そんな裏話を、網代散策に訪れる旅人の会話にも加えてみてはいかがでしょうか。
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