名古屋城 御深井丸エリア#2

戦国の知恵が息づく名古屋城の“防御の美”

名古屋城には、全国屈指の規模を誇る「西北隅櫓(清洲櫓)」や、鋭利な突起で敵の侵入を阻む「剣塀」、狭く湾曲した通路で防御性を高めた「鵜の首」など、実戦的かつ美的な防御構造が現存しています。築城の名手たちが仕掛けた知恵と技術を、実際の遺構を通して深く味わえるスポットをご案内します。

西北隅櫓

🏛 概要

名古屋城の西北隅櫓(せいほくすみやぐら)は、御深井丸(おふけまる)の北西隅に位置し、1619年(元和5年)頃に建造されたと考えられています。​この櫓は外観三重、内部三階の構造で、大きさは東西約13.9メートル、南北約16.9メートル、高さ約16.2メートルを誇ります。​江戸時代から現存する三重櫓の中では、全国で2番目の大きさを持ち、その規模は一部の天守を凌ぐほどです。

また、西北隅櫓は「清洲櫓(きよすやぐら)」とも呼ばれています。​これは、1611年(慶長16年)に清洲城の天守または小天守を移築したものと伝えられているためです。​解体修理の際には、移築や転用の痕跡も見つかっており、実際に清洲城から移築された可能性が指摘されています。 ​

この櫓は、1930年(昭和5年)に国宝に指定され、現在は重要文化財として保存されています。 ​

🗺 住所

愛知県名古屋市中区本丸1-1 名古屋城内

🚶 アクセス

茶席から徒歩約3分(約200m)​

見学の目安

  • 短時間での見どころ:​約3分
  • じっくり観光するなら:​約15分

📍 見どころ

  • 外観の特徴:​入母屋造(いりもやづくり)の屋根に、平瓦と丸瓦を組み合わせた本瓦葺きが施されています。北面と西面には敵を攻撃するための石落としが設けられ、各面には千鳥破風(ちどりはふ)が配置されています。
  • 周辺の散策:​御深井丸内には、明治時代に建てられた乃木倉庫や、清洲城ゆかりの猿面茶席が復元されており、歴史的な雰囲気を楽しむことができます。
  • 季節限定の楽しみ方:​春には周囲の桜が美しく咲き誇り、櫓とのコントラストが見事です。​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​西北隅櫓は、清洲城の天守を移築したものと伝えられ、そのため「清洲櫓」とも呼ばれています。 ​
  • 知る人ぞ知る情報:​江戸時代から現存する三重櫓の中では、全国で2番目の大きさを誇り、その規模は一部の天守を凌ぐほどです。
  • 著名人との関係:​名古屋城は徳川家康の命により築城され、西北隅櫓もその一部として建造されました。

剣塀(けんべい)

🏛 概要

剣塀(けんべい)は、名古屋城の防御施設の一部として設けられていた特殊な構造の塀で、敵の侵入や突破を防ぐための武装的な塀として知られています。塀の上部に鋭利な三角形の装飾(「剣」)が施されており、登攀(とうはん)や乗り越えを物理的に困難にする目的で設計されていました。名古屋城では、本丸御殿南西部の石垣上などに現存し、当時の城郭防御思想を視覚的に感じることができる貴重な遺構です。

🗺 住所:

愛知県名古屋市中区本丸1-1 名古屋城本丸南西部(石垣上)

🚶 アクセス

西北隅櫓から徒歩約4分(約270m)

⏳ 見学の目安

短時間での見どころ:約3分
建築的視点でじっくり観察するなら:約10分

📍 見どころ

🔹 剣塀の構造:三角形の突起(鋸歯状)の形をした上部が特徴で、防御性と威圧感を兼ね備えた実戦的な意匠。近くで見るとその鋭さと形状の工夫がよく分かります。

🔹 石垣との一体構造:本丸御殿の石垣と一体になって設置されており、名古屋城ならではの堅牢な防衛設計を象徴しています。

🔹 季節限定の楽しみ方:春の桜や秋の紅葉と剣塀の対比が独特の美を見せ、歴史建築の背景として写真映えもします。

📌 トリビア

意外な歴史的背景:剣塀は、実際の戦闘を想定して作られた防御構造でありながら、権威を誇示する装飾的な役割も果たしていたと考えられています。

知る人ぞ知る情報:名古屋城以外の城郭では現存例が極めて少なく、現地で実物を間近に見られる数少ない場所のひとつです。

著名人との関係:この塀の整備は、徳川家康による築城命令に基づく名古屋城の建築計画の中で設計されており、尾張徳川家の威信と防衛思想の結晶といえます。

鵜の首

🏛 概要

名古屋城の鵜の首(うのくび)は、堀の一部を城内深くまで細長く入り込ませ、通路を狭めた構造を指します。​この設計は、敵の侵入を防ぎ、防御を強化するための工夫として知られています。​築城当初、名古屋城には5つの鵜の首が存在しましたが、明治時代に正門近くの1つが埋められ、現在は4つが残っています。

鵜の首の狭隘な通路は、敵兵の侵入を困難にし、防御側が優位に立てるよう設計されています。​また、堀の形状を巧みに利用することで、攻撃側の動きを制限し、効果的な防御を可能にしています。​

🗺 住所

愛知県名古屋市中区本丸1-1 名古屋城 鵜の首

🚶 アクセス

剣塀から徒歩約1分(約20m)

見学の目安

  • 短時間での見どころ:約3分
  • じっくり観光するなら:約15分

📍 見どころ

  • 防御構造の巧妙さ:​鵜の首の狭く曲がりくねった通路は、敵の侵入を防ぐための工夫が随所に見られます。​
  • 石垣の技術:​堀の形状に合わせて築かれた石垣は、当時の高度な築城技術を物語っています。​
  • 季節限定の楽しみ方:​春には周囲の桜が美しく咲き、歴史的な構造物と自然の調和を楽しむことができます。​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​埋められた鵜の首は、明治時代に馬車の通行を容易にするために埋め立てられました。 ​
  • 知る人ぞ知る情報:​名古屋城の鵜の首は、他の城郭ではあまり見られない独特の防御構造であり、築城当時の戦略的工夫が凝縮されています。​
  • 著名人との関係:​名古屋城は徳川家康の命により築城され、その際にこのような高度な防御構造が採用されました。​

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