名古屋城 二之丸エリア#2

徳川の美意識と技が宿る、名古屋城・二之丸の歴史を歩く旅

名古屋城の東部に広がる「二之丸エリア」には、霜傑跡(茶屋跡)、北暗渠、南蛮練塀といった江戸時代の遺構が今なお静かに佇んでいます。本記事では、それぞれの歴史的背景と見どころをわかりやすく紹介しながら、名古屋城のもうひとつの魅力に迫ります。

霜傑跡(茶屋跡)

🏛 概要

霜傑跡(そうけつあと)は、名古屋城二之丸庭園内にある茶屋跡のひとつで、江戸時代後期の文政年間(1818~1830年)に整備された建物の遺構です。二之丸庭園には、将軍や御三家の来訪に備えて複数の御亭(ごてい)・御席(ごせき)が建てられましたが、「霜傑」はそのうち最大規模の茶屋建築だったとされます。現在は、建物の柱や敷石の配置をもとに、石で輪郭を示しつつ整備・公開されています。

🗺 住所:

愛知県名古屋市中区本丸1-1 名古屋城二之丸庭園内

🚶 アクセス

二之丸東庭園から徒歩約1分(約100m)

⏳ 見学の目安

短時間での見どころ:約5分
じっくり観光するなら:約15分

📍 見どころ

🔹 霜傑跡(茶屋跡):建物の礎石や柱の配置が地面に再現されており、かつての茶屋の規模を視覚的に感じることができます。

🔹 発掘調査に基づく整備:昭和52年(1977年)に実施された発掘調査と『御城御庭絵図』の記録に基づき、忠実に整備されています。

🔹 季節限定の楽しみ方:春には周囲の庭園が桜に包まれ、歴史遺構と花景色の対比を楽しめます。

📌 トリビア

意外な歴史的背景:霜傑は、6つあった茶屋のうち最も大規模な建物で、数寄屋風の上質な造りだったとされています。

知る人ぞ知る情報:現地には石碑などはなく、建物の形を礎石と砂利で再現しており、往時の姿を想像しながら見るのが醍醐味です。

著名人との関係:この茶屋は将軍や御三家の来訪を想定して建てられた御成施設で、尾張藩の迎賓空間として機能していました。

北暗渠

🏛 概要

北暗渠(きたあんきょ)は、名古屋城二之丸の東庭区域に設けられていた地下排水施設の一部で、江戸時代の城内排水技術を今に伝える重要な遺構です。これは、御殿の周囲に降った雨水を石樋(いしどい)で集め、暗渠(地中の排水路)を通じて堀へ流すために設けられていた構造で、名古屋城の衛生・防災機能の高さを示す貴重な例です。

発掘調査により遺構が確認され、現在は発見当時の状態で整備・保存されており、見学も可能です。

🗺 住所:

愛知県名古屋市中区本丸1-1 名古屋城二之丸東庭園内

🚶 アクセス

霜傑跡から徒歩約1分(70m)

⏳ 見学の目安

短時間での見どころ:約5分
じっくり観察するなら:約10分

📍 見どころ

🔹 暗渠構造の露出部:御殿の雨落ちを地中に排出する構造が現地で再現・保存されており、江戸時代の実用インフラを目にすることができます。

🔹 石樋の構造:蓋石(ふたいし)と側石がそれぞれ異なる素材で構成されており、当時の築造技術の工夫を垣間見ることができます。

🔹 季節限定の楽しみ方:春には周囲に桜が咲き、静かな環境の中で歴史と自然を同時に楽しめます。

📌 トリビア

意外な歴史的背景:暗渠は単なる排水設備ではなく、城郭の機能美を陰で支える重要な構造でした。堀への排水も計算されて設計されています。

知る人ぞ知る情報:石材は**蓋石が花崗岩(かこうがん)、側石が硬質砂岩(こうしつさがん)**で構成されており、耐久性と施工技術の両面で優れた工法が採られていました。

著名人との関係:この構造は、御殿に滞在する尾張藩主や来賓たちの生活空間の環境維持を支えるもので、彼らの快適さの裏にあったインフラの一部です。


📜 看板原文セクション(現地看板全文書き起こし)

御城御庭絵図(おしろおにわえず)にある御庭の外側の暗渠式排水路の遺構が、発掘調査したときのままの状態で整備してある。
絵図によれば、この付近には花壇があった。
これは、「金城温古録(きんじょうおんころく)」にある、雨水を引き入れる「水道石樋(すいどういしどい)」の遺構と認められる。現在も、ここにたまった雨水は、石樋を通じて堀へ注いでいる。暗渠に用いられている石材は、蓋石(ふたいし)が花崗岩(かこうがん)、側石が硬質砂岩である。

📎 注記
この現地看板は長年の風雨により風化が進んでおり、文字が読みづらくなっています。そのため、観光客への理解促進のために全文をここに記録しています。

南蛮練塀

🏛 概要

名古屋城の二之丸北面に位置する南蛮練塀(なんばんねりべい)は、江戸時代初期に築かれた特異な構造の土塀です。​この塀は、柱や厚板を使用せず、粘土と砂利を石灰や油で練り固める「南蛮たたき」と呼ばれる技法で造られており、非常に堅固な造りとなっています。​塀には円形の鉄砲狭間(てっぽうざま)が設けられ、戦時の防御機能も備えていました。​現存する部分はわずかですが、名古屋城の歴史的価値を示す貴重な遺構として保存されています。

🗺 住所

愛知県名古屋市中区本丸1-1 名古屋城二之丸北面

🚶 アクセス

北暗渠から徒歩約1分(約100m)

見学の目安

  • 短時間での見どころ:約5分​
  • じっくり観光するなら:約10分​

📍 見どころ

  • 南蛮練塀:​独特な工法で築かれた土塀で、円形の鉄砲狭間が特徴的です。
  • 二之丸庭園:​近隣には名勝に指定された美しい庭園が広がり、四季折々の風情を楽しめます。​
  • 季節限定の楽しみ方:​春には桜、秋には紅葉が庭園を彩り、訪れる人々を魅了します。​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​南蛮練塀の「南蛮たたき」技法は、当時の最新技術であり、名古屋城の防御力を高めるために採用されました。
  • 知る人ぞ知る情報:​南蛮練塀は、他の土塀とは異なる構造を持ち、その独特な造りから歴史愛好家の間で注目されています。 ​
  • 著名人との関係:​名古屋城の築城には、徳川家康の命により加藤清正などの名将が関与し、その際に南蛮練塀も築かれました。

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