2025/8 日光東照宮 将軍着座の間 特別祈祷ツアー 日記

朝一番に向かったのは、「千姫物語ホテル」。その名の通り、姫路城に縁のある千姫の名前が付いたホテルで、歴史情緒を感じながらも現代的な快適さを備えていると評判です。ただ、ホテルの人に伺うと、特に日光と千姫との関係はないとのこと。

ホテルへ向かう途中、前回、訪問時に撮り損ねた「天海の像」に立ち寄りました。晴天に恵まれた空の下、青空を背にそびえるその像はまるで光をまとったかのように輝いて見え、この人があっての東照宮と改めてありがたい気持ちに。

天海像
天海像
天海像

さらに道路を挟んで反対側にある日光 二荒山神社 新橋に立ち寄る。いつもタイミングを逃し買えなかった御朱印をいただき、入場料を払い、鳥居を潜り橋を渡ってお祈りを。御朱印を手に取ると、旅の記録がまたひとつ増えた喜びが込み上げます。

神橋の鳥居
神橋入口の鳥居
日光 二荒山神社 神橋
神橋
神橋の御朱印
神橋の御朱印

そしていよいよ「千姫物語ホテル」に到着。支払いを済ませると、社務所へと向かいました。ところが、社務所は思いのほか近代的な建物。ガラス張りの外観に整然としたデザインで、いわゆる“古き良き社務所”の趣とは違う、モダンな印象でした。そのギャップに少し驚きつつも、これもまた時代とともに変化してきた神社の姿なのかもしれないと感じました。

日光東照宮 社務所
社務所

時間になると、神社の方からツアーについての案内があり、いよいよ特別な時間の始まりです。まずは「東照宮美術館」の脇を抜け、普段は立ち入ることができない裏道を通って進みます。石畳に木漏れ日が差し、ひっそりとした小径はまるで時代劇のワンシーンのよう。やがて趣のある古門をくぐり抜けると、荘厳な「東照宮」へと辿り着きました。

最初の説明は、石鳥居です。高さ9m、柱の周囲で、3.6mで、日本で一番大きな石の鳥居。

日光東照宮 一の鳥居
日光東照宮 石鳥居

1618年に日光東照宮が祀られ1年後に黒田官兵衛の息子である黒田長政によって奉納された。鳥居中央には、東照大権現(徳川家康の神様としての名前)が108代 水尾天皇の筆で書かれたもの。

最初に案内されたのは「五重塔」。朱色に塗られた塔は青空に映え、内部には歴史的な展示物や信仰の象徴が並び、神聖な空気が漂っていました。2025年8月現在、特別公開とのことで、この5重の塔の内部が扉を開けて公開されており、金で包まれた柱が見学できます。4階からぶら下げられているとの事で、これで地震がが来ても耐えられるとのこと。この原理は東京スカイツリーの免振システムでも応用されているそうで、柱は、地中に埋まっているわけではなく、浮いているとのことです。

提示されている五重の塔の内部の写真の写真
内部は見学できますが撮影禁止。提示されている五重の塔の内部の写真の写真。

次に、いよいよ東照宮境内に入ります。社殿は全てで55棟あり、8棟が国宝とのこと。本殿に入ると、正面には三つの三神庫が並び、ガイドの方から詳しい説明を受けます。湿度の自動調整機能について説明があり、湿度が多いときは木が膨張し、隙間をふさぎ、空気が乾燥すると隙間が出来て空気の入れ替えを行うらしいです。柱や梁に施された彫刻には動物の姿が刻まれ、当時話に聞いた像やら麒麟やらが想像されながら彫刻としてほってあります。細部に宿る職人たちの技と信仰の深さに、思わず息を呑みました。

三神庫
三神庫

次に案内されたのは「神厩舎(しんきゅうしゃ)」でした。ここには「三猿」の彫刻で知られる猿が描かれていますが、実際には馬を守護するために猿が祀られているとのことでした。将軍や武士にとって馬は極めて重要な存在であり、その馬を猿が厄除けの力で守るという信仰が込められているそうです。案内を聞きながら、猿の姿を通じて神仏習合の世界観が垣間見えるようで、とても興味深く感じました。

神厩舎
神厩舎

そして、いよいよ「陽明門」へ。白漆喰と金箔で飾られたこの門は、豪華絢爛さから「日暮の門」とも呼ばれています。「一日中眺めていても飽きないほど美しい」という意味で名付けられたと伝えられ、門の前に立った瞬間、その輝きと緻密な彫刻の数々に心を奪われました。

陽明門
陽明門

陽明門の手前では、一般的には石の灯籠なのですが、伊達政宗が献上したとされる他にない鉄製の灯籠の説明を受けました。海外製とも伝わり、戦国時代における国際交流の広がりを象徴する存在だとか。天下人と肩を並べた政宗らしいスケールの大きさを感じさせる逸話でした。

伊達政宗が献上したとされる鉄製の灯籠
伊達政宗が献上したとされる鉄製の灯籠

陽明門をくぐると、今度は「眠り猫」がお出迎え。小さな彫刻ながら、その愛らしさは圧倒的で、背後にはスズメが彫られていました。「泰平の世では猫も安心して眠り、スズメも自由に飛び回る」という平和の象徴であると聞き、胸が温かくなる思いでした。

眠猫
眠猫
眠猫の裏にいるスズメ
眠猫の裏にいるスズメ

裏手から進むと、いよいよ「将軍着座の間」に到着。特別に案内されたこの空間で、神職による祈祷を受けました。この間は一般の参拝客が入れる脇にある小部屋で、天井、壁と将軍を迎え入れるような豪華な絵が古くなった今でもわかる様に描かれています。歴代の将軍が日光社参事に入って着座したとのことです。(残念ながら、こちらは撮影禁止)

祈祷を終えると、通常は立ち入ることができない回廊を通って移動するという特別な体験が待っていました。煌びやかな陽明門とは対照的に、その廊下は素朴な木造で造られており、質素で静謐な佇まいが印象的でした。華やかさと質素さ、その対比が東照宮という聖域の奥深さを物語っているようでした。

最後に社務所に戻り、神前に供えられた神饌(食べ物や御神酒)を分かち合う儀式に参加しました。神と人とが一体となる感覚に心が震え、この旅の大きなハイライトとなりました。その後、御神札や朱盃、葵グラス、福箸といった記念品を授与され、心身ともに満たされた状態でツアーは幕を閉じました。

神饌(食べ物や御神酒)
神饌(食べ物や御神酒)

青空の下、普段は決して踏み入れることのできない特別な道を歩き、歴史と信仰の息遣いを体感した一日。豪華絢爛な陽明門、愛らしい眠り猫、そして静謐な木造の廊下。そのすべてが対比の中で輝き、私に「本物の歴史の厚み」を感じさせてくれました。

普通と違った日光東照宮の見学をしたい場合は、ぜひ参加の検討をしてみてはいかがでしょうか?

ツアー概要

開始時刻
  10時出発(所要時間 約1時間45分)

実施期間
  通年(ただし、春季・秋季例大祭等東照宮の行事、年末年始など実施不可日があります
料金
  お1人様 3,700円(税込)小学生以上
  料金に含まれるもの(東照宮拝観券・ガイド料・ご祈祷料・記念品)
  ※ツアー終了後の再入場は東照宮拝観券の購入が必要です。

詳細は、ツアーオフィシャルページを確認ください。(日本語のみ)
http://www.nikko-odekake.com/detail.shtml?111

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