美濃と近江の戦国史跡を訪ねて:南宮大社から安土城、安土城考古博物館へ(旅ログ)

🛡️ 関ヶ原の余韻から安土へ――“徳川に守られた社”と“信長の都”をつなぐ戦国ルート

大垣駅
大垣駅

スタート地点は大垣です。大垣、垂井から近江へと足を延ばします。関ヶ原後の時代を物語る社に手を合わせ、駅前では軍師の面影に挨拶。その後は拠点を移して、湖国に残る信長の気配へ向かう流れです。

移動手段の確保に少し手こずりつつも、拠点を決めてからはテンポよく巡れました。途中で“名前に引かれて訪ねた神社”で思い込みに気づく場面もあり、学びのある寄り道になりました。仕上げは、石段と木の門が語る安土の時間。最後は返却時刻との小さな勝負で一日を締めています。

1.南宮大社|関ヶ原後の「徳川の庇護」を学ぶ

南宮大社 大鳥居
南宮大社 大鳥居

大垣駅から垂井駅に到着後、南宮大社への行き方を探しましたが、朝が早すぎてレンタサイクルは営業前。歩いて向かうことにしました。
Googleマップを見ると、途中に大鳥居があるルートを発見。最短ではありませんが、せっかくなのでそちらを選び、新幹線のすぐ横に立つ立派な鳥居をくぐって参道へ。ここはぜひ寄り道をおすすめしたい見どころです。参道をまっすぐ進むと駐車場が現れ、その奥に朱塗りの門が姿を見せました。

南宮大社 山門
南宮大社 山門
南宮大社 手水舎
南宮大社 手水舎

社頭の由緒を読み、南宮大社は関ヶ原の戦い(1600年)で焼失し、その後に再興が進み、主要社殿は寛永19年(1642年)に三代将軍・徳川家光によって整えられたことを確認。家康期に保護が始まり、家光期に本格造営という流れが整理できます。主祭神は金山彦大神美濃国一之宮。金属の総本宮らしい凛とした空気が印象的でした。そして珍しい鉄の表紙で出来た御朱印帳も販売されています。

境内の東照宮

南宮大社 東照宮
南宮大社 東照宮
南宮大社 東照宮
南宮大社 東照宮

境内には徳川家康を祀る東照宮もあります。社殿配置から、南宮大社が徳川と深く結びついてきた歴史が読み取れます。そしてこちらには、東照宮の御朱印も販売されており徳川家康ファンはお見逃しなく。

南宮大社 南宮稲荷神社
南宮大社 南宮稲荷神社
南宮大社 南宮稲荷神社
南宮大社 南宮稲荷神社


さらに、東照宮の奥には南宮稲荷神社があり、規則正しく並ぶ鳥居が続いていました。参道の静けさと相まって、歩を進めるたびに気持ちが整う一角です。徒歩で垂井駅に戻り北口にある竹中半兵衛の像へ。

竹中半兵衛公の像(垂井)

垂井駅前 竹中半兵衛
垂井駅前 竹中半兵衛

垂井駅北口のロータリーで竹中半兵衛の銅像に挨拶します。さらに北に行くと竹中氏屋敷跡などあるらしいのですが、今回は時間の関係上次回に持ち越し。次の目的地である安土城方面へ、JR東海道線にのり向かいます。

レンタカー探しに難航 → 野洲で確保

このあとは車で動く計画でレンタカーの空を電車内で検索。近江八幡は空きがなく南彦根も検討したものの、最終的に野洲駅前でレンタカーを確保しました。結果的にこの日は安土より南へは下らなかったので、「南彦根でも良かったかも」と後から思いましたが、現場判断としては十分でした。野洲からは車で30分ほど運転して安土城跡へ。

安土城跡|石段と「360°パノラマ」

パノラマ写真

安土城跡入口前

安土城跡 大手道

安土城跡 天守閣

安土城跡 総見寺跡

野洲で車を借りて、安土へ。去年初めて訪れて熱い何かを感じ、今回5度目。何度来ても感極まるものを感じます。大手道の石段は段差が一定ではなく、足裏で歴史を刻むように登っていきます。不定期に実施されている摠見寺特別拝観が今回も実施されていたので、通常の入場料700円に加えて、500円を追加で払い抹茶と菓子をいただきました。曇天でも石の陰影が立ち、立体感のある画が撮れました。車に戻り、約30分ほど運転して豊国神社へ。

「豊国神社(厄除八幡宮)」へ|御朱印と“思い込みの修正”

豊国神社(厄除八幡宮)
豊国神社(厄除八幡宮)
豊国神社(厄除八幡宮)
豊国神社(厄除八幡宮)

Googleマップで見つけた「豊国神社(厄除八幡宮)」に車で移動。雰囲気のよい参道と本殿でまず参拝し、電話で宮司さんに来ていただいて御朱印を授与していただきました。あわせて秀吉ゆかりかをうかがうと、直接の関係はなく、八幡系(九州・宇佐を祖とする)を勧請した社であるとのこと。名称から「秀吉」を連想していたので少し驚きましたが、ここはここで気持ちのよい神社でした。秀吉とは関係ありませんでしたが、神社としては立派で不思議な縁ですがここに導かれた事に感謝して次の目的地へ。車で30分ほど運転し長光寺へ。

超光寺|摠見寺由来と伝わる移築門

超光寺 安土城門
超光寺 安土城門
超光寺 安土城門
超光寺 安土城門
超光寺
超光寺

ここには安土城内にあった摠見寺の裏門が移されたと伝わる四脚門があり、県指定有形文化財になっています。蟇股や金具に刻まれた時間の層が見どころで、安土期の建築が各地へ散っていった歴史を一棟で感じられました。帰宅後しったのですが、表門が光澤寺というところにあることが判明。もう一度、訪れる理由が出来ました。その後、車で10分ほど運転して、安土城考古博物館へ。

滋賀県立安土城考古博物館|信長イベントに参加

滋賀県立安土城考古博物館
滋賀県立安土城考古博物館

締めは安土城考古博物館。安土と信長に関する資料がまとまっており、導線が分かりやすいのが魅力です。令和7年度秋季特別展 安土城築城450年記念「天下人の城 安土城」に参加し、展示の図録と関連書籍を購入しました。総見寺の織田信長、お市の方、徳川家康たちの肖像画、信長の朱印状、最新の研究動向に触れられたのが収穫です。

タイムアタックで野洲へ|返却5分前セーフ

展示に集中していたら時間が迫り、野洲駅の営業所へ急行返却時間の5分前に滑り込みで返却完了です。ハンドルを置くと、南宮の朱、安土の石、移築門の木目が、一日のレイヤーとして頭に並びました。一般道の運転ではナビの所要時間が当てにならないと実感しつつ、この日の旅を締めくくりました。

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