
加賀百万石の歴史と威光を短時間で凝縮して体感できる、金沢城公園の魅力を最大限に引き出す約1時間のモデルコースをご案内します。このルートは、効率的な動線でありながら、城のシンボル、歴史的建造物、そして美しい庭園の全てを網羅します。さらに、各スポットでは、まるでそこに立っているかのような臨場感を味わえる360度パノラマ写真もお楽しみいただけます。

旅の始まりは、名園・兼六園のすぐそばに位置し、国の重要文化財である石川門です。白く輝く鉛瓦と、堅固な石垣の上にそびえ立つ雄大な姿は、まさに金沢城の象徴。ここをくぐり抜ける瞬間、加賀百万石の歴史の扉が開きます。
城内へと進むと、次は河北門、石川門・橋爪門と並ぶ「三御門」の一つで、城の正面玄関にあたる格式高い門に到達します。巨大な石垣と豪壮な櫓門(やぐらもん)の姿は、藩主が客人を出迎えた威厳と格式を今に伝えています。


散策の途中でぜひ立ち寄っていただきたいのが、鶴の丸休憩館です。モダンなガラス張りのこの空間は、ただ休むだけでなく、ここから長大な五十間長屋や橋爪門の全景を一望できます。まるで額縁に入れられた絵画のように美しい、城郭の絶景を心ゆくまでお楽しみください。

その橋爪門の先にそびえるのが、金沢城の新しいシンボルである菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓です。古文書に基づき、現代の匠の技で忠実に復元されました。独特な菱形の平面を持つ菱櫓、そして五十間(約90m)続く長屋の堂々たる美しさは圧巻。内部(有料)に入れば、釘を使わない伝統的な木造建築の迫力に圧倒されます。
メインの建物を堪能したら、癒やしの空間である玉泉院丸庭園へ。城の最深部に造られた、歴代藩主が愛した優美な回遊式庭園です。高低差を活かした幾重にも重なる石垣と、静かに流れ落ちる段落ちの滝は城郭庭園としては非常に珍しく、四季折々の景色が散策の疲れを忘れさせてくれます。


城郭散策のフィナーレを飾るのは、2020年に復元された新しい顔、鼠多門と鼠多門橋です。黒漆喰と鉛瓦のコントラストがシックでモダンな印象を与え、城内最大の木橋である鼠多門橋と調和しています。ここを渡れば、城下町(尾山神社・武家屋敷方面)へと通じており、旅の余韻と共に次の目的地へとスムーズに移動できます。
ルートマップ
特選7スポット紹介
石川門(いしかわもん)
⭐おすすめ度
歴史的価値:☆☆☆
視覚的魅力:☆☆☆
体験的価値:☆☆

金沢城の代表的な門の一つであり、城郭遺構として現存する数少ない建造物のひとつが「石川門」です。城の搦手(からめて=裏門側)に位置し、石川郡方面へ向かっていたことからその名が付けられました。江戸時代には「三御門(さんごもん)」と呼ばれる主要門の一つともされています。
現在目にする建物は、1759年(宝暦9年)の火災で焼失した後、1788年(天明8年)に再建されたものです。 石川門は、櫓門・続櫓・高麗門・太鼓塀などいくつもの構成要素からなり、枡形構造(ますがた)を備えた重厚な門構えが特徴です。 屋根には鉛瓦(鉛を使った瓦)が使われており、かつて戦時にはその鉛を溶かして銃弾に転用できるとの伝説も伝わっています。
前田利家が金沢城に拠点を移した後、城郭整備が進む中でこの門も重要性を増しました。利家自身がこの城を拠点としたことから、城内の各門・櫓の配置や防衛構造も藩主の威信と防備を兼ねたものとして計画されていたと考えられます。
パノラマ写真
築造年 | 1788年(再建) |
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築造者 | 前田家(当時の藩主 前田治脩期) |
構造・特徴 | 櫓門・続櫓・高麗門・枡形構造、太鼓塀を含む門構え |
改修・復元歴 | 昭和期の解体修理、維持保存工事あり |
現存状況 | 現存(国の重要文化財) |
消滅・損壊 | 1759年の火災で焼失 → 再建 |
文化財指定 | 1950年(昭和25年)に国の重要文化財に指定 |
備考 | 金沢城の重要文化財のひとつ。三十間長屋、鶴丸倉庫とともに残る城郭遺構 |
🗺 住所:石川県金沢市丸の内1−1
🚶 アクセス
最寄りバス停:「兼六園下・金沢城」下車 徒歩約4分(約300 m)
JR金沢駅から徒歩だと約30分(2.2 km)ほど。
⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約 10分
じっくり観光するなら:約 20分
📍 見どころ
- 枡形構造と門の構成:高麗門→櫓門→続櫓という複数の門構成が重厚な防御構造を伝える
- 鉛瓦の屋根:かつて銃弾材としての転用伝説を持つ瓦材で、表面の鉛白化した風合いも見もの
- 夜間ライトアップ:夜はライトアップされ雰囲気が増します(季節や時間により実施)
- 周辺景観とのつながり:兼六園や城郭の石垣と一体になった風景の中に位置する
📌 トリビア
- 裏門であった門:表門ではなく搦手(裏側)の門として機能していたことから、往時は裏方・防衛側の性格を持つ門であった
- 鉛瓦の逸話:その鉛瓦を溶かして鉄砲の弾に使えるという説が語られるが、実際にそうした記録は確証がない伝承的な話
- 三御門の一角:石川門、河北門、橋爪門の3つが「三御門」と呼ばれ、城を守る主要門のひとつとして重んじられた
河北門(かほくもん)
⭐おすすめ度
歴史的価値:☆☆☆
視覚的魅力:☆☆☆
体験的価値:☆☆☆

河北門は、金沢城の正面にあたる“実質の正門”として機能しており、城の大手口に位置する門でした。「三御門(石川門・橋爪門・河北門)」のうちの一つとして、城郭の顔の一つです。 この門は、宝暦9年(1759年)の大火で焼失した後、安永元年(1772年)に再建されたとされ、明治時代には撤去されておりました。しかし平成時代に復元が進められ、2007年11月に着工、2010年4月に竣工して現在の姿となりました。復元時には、古絵図・古写真・文献・発掘された遺構などをもとに、戸室石の石垣、白壁の漆喰、木構造や鉛瓦など、可能な限り伝統技法での再現がなされています。また、「一の門(高麗門)」「二の門(櫓門)」「枡形・土堀」「ニラミ櫓台」の組み合わせで、防御性を兼ね備えた構成となっています。
前田利家やその子孫たちの時代には、城の正門として藩主や参勤交代、公式な来訪者の通行が想定され、この門を通る場面もあったことでしょう。再建後も、城の格式や防備を象徴する存在として、城郭整備の要として重視された門といえます。
中に入り見学可能です。
パノラマ写真
築造年 | 安永元年(1772年頃 再建) |
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築造者 | 加賀藩・前田氏支配下で再建 |
構造・特徴 | 高麗門(一の門)+櫓門(二の門)+枡形構造+続櫓・ニラミ櫓台付き |
改修・復元歴 | 明治期撤去 → 平成19年起工 → 平成22年復元竣工 |
現存状況 | 復元構造として現存・公開中 |
消滅・損壊 | 明治15年頃撤去され消滅していた時期あり |
文化財指定 | 現状では文化財建造物としての指定についての明記は公開資料に記載なし |
備考 | 復元にあたり、当時の遺構・文献を尊重した設計がなされた |
🗺 住所:石川県金沢市丸の内付近
🚶 アクセス
前のスポット「石川門」から目の前にあり。城郭内の散策ルートを通って徒歩2分。
⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約 5分
じっくり観光するなら:約 30分(門の構造や門内見学含む)
📍 見どころ
- 一の門(高麗門)構造:白壁と高麗門形式の扉を通って内部へ入る入口部
- 二の門(櫓門)+枡形構造:門を入ると直角に曲げられる枡形構造で敵を取り囲みにくくする設計
- ニラミ櫓台・続櫓機能:見張りや防衛を大意した櫓台や続櫓機能を兼ね備える構成
- 内部見学:二の門部分の内部は能登ヒバなどの木材で復元され、見学可能(無料)
- 昼夜の景観:白壁と石垣のコントラストが映える昼景、夜間照明が入る時間帯もあり(期間限定)
📌 トリビア
- 復元まで130年ぶり:明治期以降消失していた河北門は、平成期に入ってから約130年ぶりに復元されました。
- 復元事業の参加型寄付:復元にあたって壁板や瓦の裏面に県民の名前やメッセージを入れる参加型施策が行われました。
- 武具保管機能の推定:江戸期には弓奉行の管理下にあり、弓具などの武具が収納されていたと推測されています。
- 枡形設計の工夫:枡形構造で直線的な侵入を防ぎ、曲げながら進ませることで守備力を高める設計が施されていました。
鶴の丸休憩館(つるのまるきゅうけいかん)
歴史的価値:
視覚的魅力:☆☆☆
体験的価値:☆


金沢城公園の中心部、橋爪門や五十間長屋を望む位置に建つ「鶴の丸休憩館」は、観光客と市民の憩いの場として2017年に開館しました。館内は木の温もりを感じる落ち着いたデザインで、ガラス越しに城郭の雄大な景観を一望できるよう設計されています。 建物名の「鶴の丸」は、かつて城内に存在した曲輪(くるわ)の名称に由来し、前田家が守り抜いた金沢城の伝統と美意識を現代に伝える場所です。
館内には、城の復元事業や発掘調査の成果を紹介する展示スペースのほか、和菓子やお茶を楽しめる「豆皿茶屋」が併設されています。特に大型のパノラマ窓から望む五十間長屋と菱櫓の景色は圧巻で、天候や季節によって表情を変える金沢城の魅力を味わえます。 また、館内ではVR映像「よみがえる金沢城二の丸御殿」も上映され、前田利家・まつの時代の城の姿をデジタルで体験することができます。
パノラマ写真
開館年 | 2017年(平成29年) |
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設計・施工 | 石川県建設工事部・五井建築設計事務所 |
構造・規模 | 鉄骨造一部木造、平屋建て、延床面積 約422㎡ |
主な施設 | 展示スペース、休憩所、飲食スペース(豆皿茶屋)、映像コーナー |
特徴 | ガラス張りの眺望空間、県産木材使用、城郭景観との調和設計 |
現存状況 | 現存・一般公開(入館無料) |
文化財指定 | 文化財建造物指定なし(公園内公共施設) |
備考 | 旧「鶴の丸休憩所」(2001年設置)を建て替えた新施設 |
🗺 住所:石川県金沢市丸の内1-1(金沢城公園内)
🚶 アクセス
鶴丸倉庫から、徒歩2分(210m)で到着します。
⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約5分
じっくり観光するなら:約30分(カフェ利用・映像鑑賞含む)
📍 見どころ
- ガラス越しの城郭絶景:五十間長屋・菱櫓・橋爪門を一望する絶好のビューポイント。
- 豆皿茶屋:九谷焼や山中塗の器で提供される和スイーツや軽食が人気。
- VR映像シアター:金沢城二の丸御殿をCGで再現し、往時の藩主空間を体感できる。
- 県産木材の温もり:能登ヒバなど地元材を使用した温かみのある設計。
- 四季折々の風景:春の桜、夏の青空、秋の紅葉、冬の雪化粧がガラス越しに広がる。
📌 トリビア
- 景観配慮の建築:高さを抑え、外観を白壁調にして城郭と一体化するよう設計されている。
- 名前の由来:「鶴の丸」は、前田家ゆかりの鶴が舞い降りた伝承にちなむ曲輪名。
- 休憩以上の機能:情報発信・文化紹介・教育展示を兼ねる“学びと癒しの拠点”。
- 金沢城散策のハブ:復元建築群の中心にあり、散策途中の休憩や待ち合わせに最適。
橋爪門(はしづめもん)
⭐おすすめ度
歴史的価値:☆☆
視覚的魅力:☆☆☆
体験的価値:☆☆

橋爪門は、金沢城において 二の丸への正門 として機能していた門で、城内でも最も格式が高い門とされています。「三御門(石川門・河北門・橋爪門)」の一つに数えられ、城の中枢部へ進入する入口として、慎重な通行が行われた設計が施されていました。
構造的には、「高麗門形式の一の門」「枡形(ますがた)構造」「櫓門形式の二の門」「続櫓(つづきやぐら)」という複数の構成要素を備えた重層的な門構造を持っており、枡形は城内でも最大規模を誇ったとされます。 2015年(平成27年)3月に、二の門 が第2期復元整備事業として復元され、門内部には番所も再現されています。 なお、一の門(高麗門)部分は、平成13年(2001年)頃の復元で復元されています。
パノラマ写真
築造年/再建年 | 文化6年(1809年)再建の姿を復元 |
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構造・特徴 | 高麗門(一の門)+枡形構造+櫓門(二の門)+続櫓 |
改修・復元歴 | 文化6年再建 → 明治期以降の消失 → 平成期に復元(平成13年・平成27年) |
現存状況 | 復元構造として門・二の門・番所・続櫓が公開中 |
文化財指定 | 門単体での指定は公表されていないが、金沢城遺構として史跡整備対象 |
備考 | 枡形構造や番所、敷石など細部に格式性・防御性が意図された設計が見られる |
🗺 住所:石川県金沢市丸の内周辺
🚶 アクセス
鶴の丸休憩館から2分(約180m)
⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約 10分
じっくり観光するなら:約 20分
📍 見どころ
- 枡形構造:直線での進入を避けさせる工夫を凝らした城門防御の典型構造
- 番所の再現:二の門内部に番所を設け、実際の管理機能を再現
- 伝統的敷石:戸室石使用:格式を示す敷石構造が意図的に用いられたとの記述あり
- 続櫓連結:門に続く櫓との連結性や見張り機能を併せ持つ構成
- 夜間ライトアップ:橋爪門・続櫓・五十間長屋とともにライトアップ演出があることもあります
📌 トリビア
- 格式の象徴的門:城の中でも最も格式を重んじられた門として、通行制限の厳しい場所だったと伝わります
- 復元順序の違い:まず一の門等が先に復元され、その後、橋爪門二の門が平成27年に再建された流れがあります
- 前田家との関連性:この門を通って二の丸御殿へ向かう構図は、藩主や公式来訪者の導線として重視されたことでしょう
菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓(ひしやぐら・ごじっけんながや・はしづめもんつづきやぐら)
⭐おすすめ度
歴史的価値:☆☆☆
視覚的魅力:☆☆☆
体験的価値:☆☆☆


金沢城の象徴的な構造物群「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓」は、 3棟が一体構成 された城郭建築群です。平成13年(2001年)に、史料と発掘成果をもとに復元されました。石川門・三十間長屋と並ぶ、現存復元建造物の中でも極めて注目される施設群です。 この一体建築は、三層三階の菱櫓 と 二層二階の五十間長屋、そして 三層三階の橋爪門続櫓 を直結しており、戦時には二ノ丸を守護する防衛ラインとしての役割を担っていました。
中に入り木造で出来た様子が見学できます。
パノラマ写真
復元完成年 | 平成13年(2001年) |
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構造概要 | 菱櫓・橋爪門続櫓:木造3層3階/五十間長屋:木造2層2階 |
用途・機能 | 菱櫓/見張り・防衛拠点、五十間長屋/武器倉庫・城壁機能、橋爪門続櫓/物見・橋爪門前監視 |
特徴 | 格子窓・石落とし・鉄砲狭間、白漆喰壁・海鼠壁、鉛瓦など防火構造 |
入館時間・料金 | 9:00〜16:30(最終入館16:00)/大人320円・小人100円(65歳以上証明で無料) |
現存状況 | 復元建築として公開・入館可能 |
🗺 住所:石川県金沢市丸の内1−1(金沢城公園内)
🚶 アクセス
橋爪門から建物の入り口まで徒歩2分 約170m
⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約15分
じっくり観光するなら:約40分(内部展示・模型・構造観察含めて)
📍 見どころ
- 菱櫓の平面形状と構造:菱形(ひし形)の平面を持つ稀有な櫓。柱も菱形断面で、内部に大径の通し柱が配されている構造。
- 五十間長屋の木組み観察:梁・桁が露出し、伝統的な木造軸組工法・仕口・継ぎ手の技法が近くで見られる。
- 橋爪門続櫓からの眺望:二ノ丸大手門・橋爪門枡形方向を見張る位置に設けられている物見櫓。
- 防御設備の意匠:格子窓・鉄砲狭間・石落としなどが配され、戦時防備を意図した造り。
- 白壁・海鼠壁・鉛瓦仕上げ:外観に施された防火・装飾要素としての伝統意匠。
📌 トリビア
- 三度の火災と再建:1759年(宝暦9年)、1808年(文化5年)、1881年(明治14年)と三度焼失を経験し、そのたびに建て替えられてきた建築群。
- 入口位置の変更:2022年9月14日から、入口がこれまでの菱櫓側から五十間長屋側に変更されています。
- 順路の一体体験:菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓は内部が通路でつながっており、建物間を移動しながら構造を体感できる。
- 建築規模の最上級復元:復元事業は明治以降の木造城郭建築復元では国内最大級規模とされ、3年4ヶ月の工期を要した大事業。
玉泉院丸庭園(ぎょくせんいんまるていえん)
⭐おすすめ度
歴史的価値:☆☆
視覚的魅力:☆☆☆
体験的価値:☆☆

玉泉院丸庭園は、かつて金沢城の西側郭「玉泉院丸」に存在していた大名庭園を、平成期の発掘調査と史料をもとに 2015年(平成27年)3月 に再整備・公開された庭園です。庭園は加賀藩主・前田家の藩主たちが寛永期以降愛でた場所で、城郭・庭園・石垣が融合する立体的な造形が特徴です。
この庭園は、金沢城内に引かれた辰巳用水を水源とする 池泉回遊式 の構成。池の底から上部の石垣最上段までの高低差は 約22メートル にも及び、滝・流れを取り入れた色紙短冊積み石垣(しきし たんざくづみ)が庭の造形要素として組み込まれています。庭園内には散策路が巡り、庭園の中をゆったり歩きながら各所の景観変化を楽しめます。
また庭園には、庭を眺めながらくつろげる休憩施設「玉泉庵(ぎょくせんあん)」が設けられており、抹茶+和菓子のセット(約¥730)が提供されています。呈茶時間は午前9時〜午後4時半で、庭園との調和を意識した設計空間となっています。
パノラマ写真
開園年(再整備) | 平成27年(2015年)3月 |
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庭園様式 | 池泉回遊式庭園 |
高低差 | 池底〜石垣最上段まで 約22 m |
主な特徴 | 滝+流れ、色紙短冊積み石垣、景石・築山・池島・散策路 |
休憩施設 | 玉泉庵(抹茶+和菓子提供) |
入園料 | 無料(庭園エリア) |
営業時間 | 3月1日~10月15日:7:00~18:00 10月16日~2月末:8:00~17:00 |
文化財指定 | 金沢城跡の国指定史跡の一部 |
🗺 住所:石川県金沢市丸の内1−1(金沢城公園内)
🚶 アクセス
菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓から徒歩5分(約350m)程度です。
⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約 5分
じっくり観光するなら:約30分(庭園構成・石垣意匠・庭木見どころ・休憩込)
📍 見どころ
- 色紙短冊積み石垣:直線・曲線を交えた石垣積みで、まるで庭の装飾要素となっている。
- 滝と流れの演出:水源からの流れを取り込んだ構成で、景観変化を時間と共に楽しめる。
- 池と島・散策路:池越しに築山や島が見え、回遊することで異なる視点の眺めが現れる。
- 借景との調和:庭園背後の石垣や三十間長屋などを借景に取り込み、構図を引き締める。
- ライトアップ演出:夜間には「幻想空間」として灯りの演出があり、7分間ごとに照明が移ろう演出があります。
📌 トリビア
- 名称の由来:庭名の「玉泉院丸」は、前田家2代藩主・利長の正室であった永姫(織田信長の四女)が剃髪後「玉泉院」と号し、この地に邸宅を持ったことにならう説があります。
- 庭園の歴史断絶と復活:明治以降庭園は姿を消し、長らく失われていましたが、埋蔵遺構や絵図をもとに再整備され、庭園遺構を現代に蘇らせた例です。
- 「石垣の博物館」構想:庭園内には立体的石垣群が配置され、石垣美術館としても称されるほどの凝んだ意匠性があります。
- ライトアップ演出の移ろい:夕景 → 宵 → 月夜の三段階の灯り演出が展開され、訪問時間帯によって異なる表情を見せます。
- 兼六園よりも早く作庭:庭の起源は寛永11年(1634年)頃とされ、兼六園成立よりも歴史が古いという見方もあります。
鼠多門(ねずみたもん)・鼠多門橋(ねずみたもんばし)
⭐おすすめ度
歴史的価値:☆☆
視覚的魅力:☆☆☆
体験的価値:☆☆☆



鼠多門は、金沢城の西側郭(=玉泉院丸側)におかれた櫓門形式の城門で、かつては **金谷出丸(現在の尾山神社付近)から玉泉院丸へ通じる橋(鼠多門橋)** によってつながる出入口として機能していました。江戸時代前期には既に存在していたと伝えられ、宝暦9年(1759年)の火災を経ても焼失を免れたものの、明治期になって焼失・橋の撤去が相次ぎ、長らく姿を消していました。
平成26年(2014年)以降の調査・復元計画に基づき、鼠多門・鼠多門橋は令和2年(2020年)7月に約140年ぶりに復元されました。櫓門には特徴的な「黒い海鼠漆喰(なまこしっくい)」の外壁が施され、他の城門には見られない独自の意匠性を備えています。鼠多門橋は城内最大規模の木橋として設計されつつも、耐震性を考慮し内部に鋼材を併設する構造が採られています。
パノラマ写真
復元完成年 | 令和2年(2020年)7月18日 |
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構造・特徴 | 櫓門形式・二階建/屋根は鉛瓦、外壁は白漆喰+海鼠壁、目地は黒漆喰 |
橋の規模・構造 | 城内最大規模木橋様式・外観木造、内部鋼材併用構造 |
用途・役割 | 尾山神社(出丸)と玉泉院丸を結ぶ導線・郭間入口機能 |
復元方針 | 発掘遺構・絵図・文献に基づき精密復元/外観は伝統木造建築、内部に耐震構造併用 |
現存状況 | 復元建築として公開・内部見学可(無料) |
🗺 住所:石川県金沢市丸の内1-1(金沢城公園内)
🚶 アクセス
玉泉庵から徒歩約2分(約120m)。
⏳ 見学の目安
短時間での見どころ:約 5(門・橋の外観観賞)
じっくり観光するなら:約 15分(内部見学・橋を含む撮影等含む)
📍 見どころ
- 黒い海鼠漆喰の意匠:目地を黒漆喰で仕上げた海鼠壁が門の特徴。他門との差別化を図る意匠です。
- 木橋としてのスケール感:当時城内最大規模とされる橋の復元。長さと幅の迫力を感じられます。
- 内部見学と展示:櫓内部には復元過程・金沢城の歴史展示があり、城側からの視点変化が楽しめます。
- ライトアップの演出:夜にはライトアップが行われ、橋と門の陰影が幻想的な風景を作り出します。
- 城下町導線の復活:尾山神社~鼠多門~玉泉院丸~金沢城と続く徒歩回遊ルートの新たな軸となります。
📌 トリビア
- 「鼠」の名の由来:外壁の色味から「鼠色」の漆喰仕上げを持つ建築という意味合いで命名された可能性があります。
- 失われていた約140年ぶりの復活:明治期に焼失・撤去後、多くの城郭構造が消失していた中で、鼠多門復元は城の「西側入口」を再現する意味合いも強い整備です。
- 構造技術の併用:外観は伝統木造で仕上げつつ、耐震性を持たせるため内部に鋼材を併用するハイブリッド設計が採られています。
- 門と橋の新たな観光軸:鼠多門の復元により、尾山神社と金沢城を結ぶ観光導線が整えられ、城下町巡りが魅力的になりました。
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