江戸城跡 皇居東御苑【第4回】二の丸エリア

本丸エリアを抜け、江戸城の中枢から少し離れると、広がるのは将軍家の生活空間としての役割を持っていた二の丸エリア。本丸と密接に結びつきながらも、より穏やかで趣のあるこのエリアには、歴代将軍が憩いの場とした 二の丸庭園 や、江戸城の防御と交通の要所であった 平川門、城内外を結ぶ歴史的な坂道 汐見坂 など、江戸時代の面影を色濃く残す場所が点在しています。将軍や大名たちが行き交った道を辿りながら、かつての江戸の暮らしに思いを馳せてみませんか?本記事では、そんな二の丸エリアの魅力を詳しくご紹介します。

二の丸エリア

平川橋

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆
 体験的価値:​☆☆☆

平川橋(ひらかわばし)は、皇居東御苑の北東部に位置し、江戸城内濠に架かる木造の橋です。​この橋は、江戸時代初期の慶長19年(1614年)に初めて架けられ、その後、度重なる改修を経て、昭和63年(1988年)3月31日に現在の姿に改架されました。​現橋は、台湾産のヒノキ材を使用し、橋脚と橋台は石造り、脚桁には鉄骨が用いられています。​全長29.7メートル、幅7.82メートルの美しい木橋で、太鼓橋のような緩やかなアーチを描いています。 ​

🗺 住所:東京都千代田区一ツ橋一丁目

🚶 アクセス

北桔橋門から徒歩約7分(約500メートル)

⏳ 見学の目安

  • 短時間での見どころ:約5分​
  • じっくり観光するなら:約15分​

📍 見どころ

  • 橋の構造美:​緩やかなアーチを描く木造の橋は、伝統的な日本の橋梁美を感じさせます。​
  • 周囲の景観:​橋の上からは、内濠や周囲の緑豊かな景色を楽しむことができます。​
  • 季節限定の楽しみ方:​春には周囲の桜が咲き誇り、橋と濠の風景が一層華やかになります。​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​平川橋の欄干にある擬宝珠は、元々は二重橋に備え付けられていたもので、明治20年(1887年)に橋が架け替えられた際に平川橋に転用されました。擬宝珠は全部で10個あり、全て江戸時代のもので、慶長19年(1614年)及び寛永元年(1624年)と刻まれています。 ​
  • 知る人ぞ知る歴史スポット:​平川橋は、皇居内濠に架かる最後の木造橋であり、その歴史的価値から多くの人々に親しまれています。 ​

平川門

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆
 体験的価値:​☆☆☆

平川門(ひらかわもん)は、江戸城の内郭門の一つで、三の丸から城外への出口として機能していました。​この門は、奥女中や御三卿(田安・一橋・清水家)の登城口として使用されており、その歴史的背景から「お局御門」とも呼ばれていました。 ​また、門の構造としては、枡形門の中で唯一、二か所の高麗門を持つ特徴的な造りとなっています。 ​

🗺 住所:東京都千代田区千代田1-1

🚶 アクセス

平川橋から徒歩約1分(約50m)

⏳ 見学の目安

  • 短時間での見どころ:約5分​
  • じっくり観光するなら:約15分​

📍 見どころ

  • 平川門の構造:​二つの高麗門と枡形の配置は、江戸時代の城郭建築の特徴を今に伝えています。​
  • 帯曲輪(おびくるわ):​平川濠に伸びる細長い敷地で、竹橋門まで続いています。
  • 平川橋:​平川門前に架かる木橋で、初めて架けられたのは慶長19年(1614年)とされています。現在の橋は昭和63年(1988年)に改架されたもので、全長29.7m、幅7.82mの美しい木橋です。 ​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​平川門周辺には、かつて上平川村、下平川村という村が存在しており、これが平川門の名称の由来とされています。 ​
  • 知る人ぞ知る歴史スポット:​門の内側には「不浄門」と呼ばれるもう一つの門があり、場内で亡くなった人や罪人などを外に出す際に使用されていたと伝えられています。 ​
  • 著名人との関係:​平川門は、徳川御三卿の登城口として使用されており、将軍家に嗣子がない場合に継承する資格を持つ御三卿(田安、一橋、清水の各家)のメンバーがこの門を通って登城していました。 ​

諏訪の茶屋

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆
 視覚的魅力:​​☆☆☆
 体験的価値:​☆

諏訪の茶屋は、皇居東御苑内の二の丸庭園にある風雅な茶室です。江戸時代、火災などで焼失後、11代将軍・徳川家斉の時に創建されました。かつては吹上御苑にありましたが、昭和43年(1968年)、皇居東御苑の整備の際に現在の場所へ移築されました。現在の建物は、明治45年(1912年)に再建されたものです。二の丸庭園の景観の一部として、周囲の自然と調和した風情ある佇まいが魅力です。​

🗺 住所: 東京都千代田区千代田1-1

🚶 アクセス

平川門から徒歩約6分(約400m)​

⏳ 見学の目安

  • 短時間での見どころ:約20分​
  • じっくり観光するなら:約40分​

📍 見どころ

  • 茶室の外観:江戸時代の茶室建築の特徴を備えた伝統的な造り。
  • 庭園との調和:周囲の植栽と融合した美しい景観が楽しめる。
  • 四季折々の風情:春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色など、季節ごとに異なる魅力を感じることができる。

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:もともとは吹上御苑にあった建物で、昭和43年に現在の二の丸庭園へ移築された。
  • 知る人ぞ知る歴史スポット:一般公開はされていないため、外観のみの見学が可能。
  • 著名人との関係:茶の湯文化の発展とともに、多くの大名がこうした茶屋を利用していた。

二の丸庭園

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆☆
 体験的価値:​☆☆

二の丸庭園は、皇居東御苑内に位置する池泉回遊式の日本庭園で、江戸時代初期に小堀遠州が作庭し、三代将軍・徳川家光の命で改修されたと伝えられています。その後、荒廃しましたが、昭和期に九代将軍・徳川家重の時代の庭園図面を参考に復元されました。

また、2018年には上皇上皇后両陛下によって、ヒレナガニシキゴイが池に放流されました。この錦鯉は、1977年に当時の皇太子(現・上皇陛下)がインドネシアのヒレの長い鯉に興味を持たれたことをきっかけに、日本の錦鯉との交配が行われ、誕生したものです。現在も庭園の池で優雅に泳ぐその姿を見ることができます。​

🗺 住所:東京都千代田区千代田1-1​

🚶 アクセス

諏訪の茶屋から徒歩約10分(約0.8km)​

⏳ 見学の目安

短時間での見どころ:約15分​

じっくり観光するなら:約30分

📍 見どころ

  • 池泉回遊式庭園:​池の中央に蓬莱島、左右に鶴亀の島を配した書院造庭園で、江戸時代の庭園美を堪能できます。
  • 季節の花々:​春の桜、初夏の花菖蒲、秋の紅葉など、季節ごとに異なる花々が庭園を彩ります。​
  • 歴史的建造物:​庭園内には、江戸時代の面影を残す石灯籠や茶室などが点在しています。​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​二の丸庭園は、明治時代以降、一時荒廃しましたが、昭和43年に復元され、現在の姿となりました。​
  • 知る人ぞ知る歴史スポット:​庭園内の池には錦鯉が泳いでおり、訪れる人々の目を楽しませています。​
  • 著名人との関係:​作庭を手掛けた小堀遠州は、茶人・作庭家として知られ、全国各地にその作品が残されています。​

汐見坂

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆☆
 体験的価値:​☆☆

汐見坂(しおみざか)は、江戸城(現在の皇居)東御苑内に位置する坂で、本丸と二の丸を結ぶ重要な通路でした。​この坂は、かつて「汐見坂門」が存在し、江戸時代にはこの坂から日比谷入江を望むことができたため、その名が付けられたとされています。​​また、坂の横には白鳥濠があり、その堅固な防御構造が伺えます。 ​
近年の調査で、汐見坂と梅林坂の間の石垣修復中に、1637年(寛永14年)に建立された東照宮の遺構が発見されました。​

🗺 住所:東京都千代田区千代田1

🚶 アクセス

二の丸庭園から徒歩約10分(約0.8km)​

⏳ 見学の目安

短時間での見どころ:約5分​

じっくり観光するなら:約15分​

📍 見どころ

  • 石垣の技法の違い:​汐見坂の左側(白鳥濠側)の石垣は築城当時の「打ち込み接ぎ」という技法で積まれており、右側は後の修理で「切込み接ぎ」という技法が用いられています。これら異なる技法の石垣を比較しながら観察できます。 ​
  • 東照宮遺構:​石垣修復中に発見された東照宮の遺構は、徳川家康を祀るために建立された歴史的建造物の名残であり、江戸時代の信仰と建築文化を感じることができます。
  • 季節限定の楽しみ方:​春には梅や桜、秋には紅葉が美しく彩り、季節ごとに異なる風景を楽しむことができます。​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​明暦の大火(1657年)の際、本丸から金銀財宝が白鳥濠に投げ込まれたという伝説があります。
  • 知る人ぞ知る歴史スポット:​白鳥濠は独立した堀で、水が流れ込む流路がありませんが、豊かな水量を保っています。その水源のほとんどは湧き水とされています。 ​
  • 著名人との関係:​徳川家康が築いた江戸城の一部として、歴代将軍や多くの歴史的人物がこの坂を通りました。

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