江戸城跡 皇居東御苑【第5回】城外エリア

江戸城を取り囲む城外エリアには、歴史の息吹を感じる名所が点在しています。徳川家康の足跡を今に伝える 平河天満宮、忍者の頭領・服部半蔵の名を冠した 半蔵門、江戸城を守る要所としての役割を果たした 桜田門千鳥ヶ淵。さらには、江戸時代から信仰を集めてきた 御宿稲荷神社 など、江戸の発展とともに歩んできた場所ばかりです。

ここは、幕府の政治と軍事の拠点であった江戸城とは違い、江戸の庶民や武士たちの暮らしが垣間見えるエリア。歴史を彩った名所を巡りながら、城下町としての江戸の姿に思いを馳せてみませんか?本記事では、そんな城外エリアの見どころを詳しくご紹介します。

城外エリア

平川天満宮

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆☆
 体験的価値:​☆☆

平河天満宮(ひらかわてんまんぐう)は、東京都千代田区平河町に位置する歴史ある神社です。​主祭神として学問の神で知られる菅原道真公を祀り、相殿には誉田別命(八幡宮)と徳川家康公(東照宮)を祀っています。​

🗺 住所:東京都千代田区平河町1-7-5​

🚶 アクセス

最寄り駅:東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅」1番出口から徒歩約3分(約240メートル)​

⏳ 見学の目安

  • 短時間での見どころ:約5分​
  • じっくり観光するなら:約15分​

📍 見どころ

  • 銅鳥居:​天保15年(1844年)に氏子町によって奉納されたとされる銅製の鳥居で、千代田区の文化財に指定されています。
  • 撫で牛:​境内には5体の石造りの牛が鎮座しており、そのうちの1体は「撫で牛」として知られています。自身の体の気になる部分と同じ箇所を撫でるとご利益があるとされています。
  • 縁結びの梅:​境内には「縁結びの梅」と呼ばれる梅の木があり、2つの実が寄り添うように成ることから、恋愛成就のご利益があるとされています。​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​平河天満宮は、江戸三大天神の一つとされ、紀州藩徳川家や彦根藩井伊家の祈願所でもありました。​
  • 知る人ぞ知る歴史スポット:​境内には「力石」や「狛犬」など、千代田区の文化財に指定されている石造物が点在しています。​
  • 著名人との関係:​盲目の国学者・塙保己一や蘭学者・高野長英が深く信仰していたことでも知られています。

千鳥ヶ淵

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆☆
 体験的価値:​☆☆

千鳥ヶ淵(ちどりがふち)は、東京都千代田区に位置する皇居の北西部にある美しい水域で、その名称は淵の形状が千鳥に似ていることから名付けられました。​江戸時代初期、徳川家康の命により、江戸城の防衛と飲料水の確保を目的として、周囲の川をせき止めて造成された人工の貯水池が始まりとされています。

🗺 住所:東京都千代田区九段南2丁目

🚶 アクセス

最寄り駅:東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅」5番出口から徒歩約11分(約750メートル)​

⏳ 見学の目安

  • 短時間での見どころ:約15分​
  • じっくり観光するなら:約30分​

📍 見どころ

  • 千鳥ヶ淵緑道:​全長約700メートルの遊歩道で、春には約260本のソメイヨシノやオオシマザクラが咲き誇り、桜のトンネルを楽しめます。​
  • 千鳥ヶ淵ボート場:​お濠でボートに乗り、水面から桜や周囲の景色を堪能できます。
  • 千鳥ヶ淵戦没者墓苑:​第二次世界大戦で海外で戦没した日本人兵士の遺骨が埋葬されている墓苑で、静かな祈りの場となっています。 ​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​千鳥ヶ淵は、もともと江戸城の防衛と飲料水の確保を目的として造成された人工の貯水池でした。
  • 知る人ぞ知る歴史スポット:​千鳥ヶ淵緑道沿いにはエゴノキが植えられており、初夏には白い花が下向きに咲く姿を楽しめます。 ​

千鳥ヶ淵は、歴史的背景と自然の美しさが融合したスポットで、特に春の桜の季節には多くの人々が訪れます。​都会の喧騒を忘れ、静かな時間を過ごすのに最適な場所です。

半蔵門

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆☆
 視覚的魅力:​​☆
 体験的価値:​☆

半蔵門(はんぞうもん)は、江戸城(現在の皇居)の西側に位置する城門で、その名称は徳川家康の家臣である服部半蔵正成に由来します。​彼は伊賀忍者の頭領として知られ、家康の江戸入府後、この門の警備を担当し、周辺に屋敷を構えていました。 ​

🗺 住所:東京都千代田区麹町一丁目1

🚶 アクセス

最寄り駅:東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅」3b番出口から徒歩約1分(約100メートル)​

⏳ 見学の目安

  • 短時間での見どころ:約5分​
  • じっくり観光するなら:約10分​

📍 見どころ

  • 高麗門:​現在残る高麗門は、戦災で焼失した和田倉門から移築されたもので、歴史的な趣を感じられます。 ​
  • 半蔵濠:​門の周囲には美しい濠が広がり、四季折々の景色を楽しむことができます。​
  • 周辺の史跡:​半蔵門周辺には、江戸時代の面影を残す史跡や建造物が点在しています。​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​半蔵門は、江戸城の搦手門(裏門)として、将軍が非常時に甲州街道を経て甲府へ避難する際の出口としても機能していたとされています。 ​
  • 知る人ぞ知る歴史スポット:​門の名称には、山王祭の象の山車が大きすぎて門を通れず、半分に切って通したため「半象門」と呼ばれたという異説も存在します。
  • 著名人との関係:​服部半蔵は、徳川家康の家臣として忍者の頭領を務め、その名がこの門に冠されるほどの功績を残しました。 ​

桜田門

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆
 体験的価値:​☆☆

桜田門は、日本の歴史と文化に深く関わる城門です。​徳川家康が江戸幕府を開いた際、江戸城はその政治の中心として築かれ、その正門の一つとして桜田門が設けられました。​この門は、江戸城の外郭に位置し、南西の守りを固める重要な役割を果たしていました。​

桜田門の建築は、重厚な木造構造で、武家社会の威厳と美意識を反映しています。​白壁と黒い瓦屋根のコントラストが美しく、江戸時代の建築技術の高さを物語っています。​また、幕末の1860年には、桜田門外の変と呼ばれる事件が起き、幕府の大老であった井伊直弼が暗殺されるなど、歴史の転換点ともなった場所です。​

その歴史的背景と美しい佇まいから、観光スポットとして人気が高く、特に春には周囲の桜が咲き誇り、多くの花見客で賑わいます。​訪れる価値は、その歴史を肌で感じることができる点と、都会の中の静寂と美を堪能できる点にあります。​

🗺 住所:東京都千代田区千代田1-1​

🚶 アクセス​

最寄り駅:東京メトロ有楽町線「桜田門駅」から徒歩約2分(約0.2km)​

⏳ 見学の目安​

短時間での見どころ:約5分​

じっくり観光するなら:約15分​

📍 見どころ​

🔹 桜田門:江戸時代の建築美と歴史を感じることができます。​

🔹 桜田濠:門の周囲を囲む美しい堀で、四季折々の風景を楽しめます。​

🔹 季節限定の楽しみ方:春には桜が咲き誇り、秋には紅葉が美しく彩ります。​

📌 トリビア​

意外な歴史的背景:桜田門外の変で井伊直弼が暗殺された場所として知られています。​

知る人ぞ知る歴史スポット:門の近くには、ひっそりとした小道があり、都会の喧騒を忘れさせる静かな散策路となっています。​

著名人との関係:幕末の志士たちがこの門を通り、歴史の舞台となりました。

御宿稲荷神社

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆
 体験的価値:​☆☆

御宿稲荷神社(おんじゅくいなりじんじゃ)は、東京都千代田区内神田に位置する歴史ある神社です。​その起源は、徳川家康が関東に移封された際、当地の郷士の邸宅に宿泊したことに由来します。​この邸宅の庭には宇迦之御魂命を祀る祠があり、後に家康の足跡を記念して社地が寄進され、「御宿稲荷神社」として広く崇敬されるようになりました。 ​

住所: 東京都千代田区内神田1-6-8

アクセス:

  • JR山手線・京浜東北線「神田駅」から徒歩約7分(約500m)​

見学の目安:

  • 短時間での見どころ:約5分​
  • じっくり観光するなら:約15分​

見どころ:

  • 社殿の建築:​伝統的な神社建築様式で建てられた社殿は、歴史と文化を感じることができます。​
  • 地域とのつながり:​古くから地域の人々に親しまれ、商売繁盛や家内安全を祈願する参拝者が訪れます。​
  • 季節限定の楽しみ方:​初詣や夏祭りなど、季節ごとの行事が行われ、地域の人々との交流を楽しむことができます。​

トリビア:

  • 意外な歴史的背景:​「御宿稲荷神社」の名称は、徳川家康が関東移封の際、当地の郷士の家に宿泊したことに由来しています。
  • 知る人ぞ知る歴史スポット:​境内には、知る人ぞ知るパワースポットがあり、訪れる人々に癒しを提供しています。​
  • 著名人との関係:​近隣には多くの文人墨客が住んでおり、彼らもこの神社を訪れ、創作のインスピレーションを得ていたと言われています。

桔梗門(内桜田門)

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆
 体験的価値:​☆☆

🏛 概要

江戸城の桔梗門(内桜田門)は、東京都千代田区に位置する歴史的な城門で、徳川家康が江戸に入府し、江戸幕府を開いた際に整備された城郭の一部です。​この門は、江戸城の西側に位置し、城内への重要な出入口として機能していました。​桔梗門の名称は、門の形状が桔梗の花に似ていることに由来すると言われています。​現在でも、歴史的建造物として多くの観光客に親しまれています。​

🗺 住所:東京都千代田区千代田1-1​

🚶 アクセス

最寄り駅:東京メトロ千代田線「二重橋前駅」から徒歩約8分(約0.5km)

⏳ 見学の目安

短時間での見どころ:約10分 じっくり観光するなら:約20分

📍 見どころ

🔹 桔梗門の構造:​桔梗門は、枡形門と呼ばれる防御的な構造を持ち、敵の侵入を防ぐ工夫がされています。

🔹 周辺の石垣:​門周辺の石垣は、江戸時代の築城技術を今に伝える貴重な遺構です。​

🔹 季節限定の楽しみ方:​春には周辺の桜が美しく咲き誇り、花見スポットとしても人気があります。​

📌 トリビア

意外な歴史的背景:桔梗門は、江戸城の防御の要として、また将軍の出入り口として重要な役割を果たしていました。​

知る人ぞ知る情報:門の周辺には、かつての江戸城の外濠の名残を見ることができます。​

著名人との関係:徳川家康が江戸城を拡張・整備した際に、この桔梗門も重要な構造物として位置づけられました。

巽櫓

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆☆
 体験的価値:​☆☆

🏛 概要

江戸城の巽櫓(たつみやぐら)は、城の東南隅に位置する重要な防御施設であり、「巽」は東南の方角を指すことからその名が付けられました。​徳川家康が江戸幕府を開いた際、江戸城の拡張とともに築かれたこの櫓は、外敵の侵入を監視し、防御する役割を果たしていました。​三重の構造を持つ巽櫓は、白壁と黒い瓦屋根が特徴的で、江戸時代の建築美を今に伝えています。​現在、巽櫓は皇居東御苑内に保存されており、歴史的価値の高い建造物として多くの観光客に親しまれています。​

🗺 住所:東京都千代田区千代田1-1​

🚶 アクセス

最寄り駅:東京メトロ千代田線「二重橋前駅」から徒歩約8分(約0.5km)

見学の目安

  • 短時間での見どころ:約10分​
  • じっくり観光するなら:約20分

📍 見どころ

🔹 巽櫓の外観:​白壁と黒瓦のコントラストが美しく、江戸時代の城郭建築の特徴をよく表しています。​

🔹 内部構造:​通常非公開ですが、特別公開時には木造の梁や柱など、当時の建築技術を間近で見ることができます。​

🔹 季節限定の楽しみ方:​春には周辺の桜が見事に咲き、櫓との美しいコントラストを楽しめます。​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​巽櫓は、江戸城の防御の要として、また将軍の居住空間を守る役割も担っていました。​
  • 知る人ぞ知る情報:​巽櫓の石垣には、築城当時の石工たちの刻印が残されており、当時の職人技を感じることができます。​
  • 著名人との関係:​徳川家康が江戸城を拡張・整備した際に、この巽櫓も重要な防御施設として築かれました。

清水門

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆☆
 体験的価値:​☆☆

🏛 概要

江戸城の清水門(しみずもん)は、東京都千代田区北の丸公園内に位置する、歴史的価値の高い城門です。​江戸時代初期の寛永元年(1624年)、広島藩初代藩主・浅野長晟(あさのながあきら)によって築かれました。​その後、明暦3年(1657年)の大火で焼失し、万治元年(1658年)に再建されました。​現在も高麗門と櫓門からなる枡形門の構造が残されており、1961年(昭和36年)には国の重要文化財に指定されています。 ​

清水門の名称は、かつてこの付近に清水が湧き出ていたことや、古くは清水寺が存在したことに由来すると伝えられています。 ​また、江戸時代中期には、九代将軍徳川家重の第二子・重好がこの門内に清水家を創設し、門名にちなんで清水家と称されました。

現在、清水門は北の丸公園の東門として、多くの観光客に親しまれています。​門をくぐると、江戸時代の石段が現存しており、当時の面影を色濃く残しています。

🗺 住所:東京都千代田区北の丸公園

🚶 アクセス

  • 最寄り駅:​東京メトロ東西線・半蔵門線、都営新宿線「九段下駅」4番出口から徒歩約6分(約0.5km)​

見学の目安

  • 短時間での見どころ:​約15分​
  • じっくり観光するなら:​約30分​

📍 見どころ

  • 高麗門と櫓門:​清水門は、高麗門と櫓門からなる枡形門の構造を持ち、江戸時代の城郭建築の特徴を今に伝えています。 ​
  • 石段:​門をくぐった先にある石段は、江戸時代からのもので、当時の武士たちが歩いた歴史を感じることができます。
  • 季節限定の楽しみ方:​春には周辺の桜が美しく咲き誇り、花見スポットとしても人気があります。​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​清水門の名称は、かつてこの付近に清水が湧き出ていたことや、古くは清水寺が存在したことに由来すると伝えられています。
  • 知る人ぞ知る情報:​清水門の扉の肘金物には「万治元年」(1658年)の刻銘があり、再建の歴史を物語っています。 ​
  • 著名人との関係:​江戸時代中期、九代将軍徳川家重の第二子・重好がこの門内に清水家を創設し、門名にちなんで清水家と称されました。

田安門

🏛 概要

⭐おすすめ度
 歴史的価値:​​☆☆
 視覚的魅力:​​☆☆☆
 体験的価値:​☆☆

江戸城の田安門(たやすもん)は、東京都千代田区北の丸公園に位置する歴史的な城門で、現存する江戸城の遺構の中でも最古のものとされています。​寛永13年(1636年)に建築され、北面する高麗門とその西側に直交する渡櫓門からなる枡形門の構造を持ちます。 ​

田安門の名称は、かつてこの地が「田安台」と呼ばれ、田安大明神(現在の築土神社)が存在したことに由来します。 ​江戸時代には、北の丸と称され、代官屋敷や大奥に仕えた女性たちの隠居所が置かれ、千姫や春日局、英勝院などの著名な人物が居住していました。 ​また、享保15年(1730年)には、八代将軍徳川吉宗の第二子・宗武がここに田安家を創設し、その子である松平定信(白河楽翁)もこの地で生まれています。 ​

現在、田安門は北の丸公園の入口として利用されており、国の重要文化財に指定されています。

🗺 住所:東京都千代田区北の丸公園

🚶 アクセス

  • 最寄り駅:​東京メトロ東西線・半蔵門線、都営新宿線「九段下駅」2番出口から徒歩約3分(約0.2km)​

見学の目安

  • 短時間での見どころ:​約15分​
  • じっくり観光するなら:​約30分​

📍 見どころ

  • 高麗門と渡櫓門:​田安門は、北面する高麗門とその西側に直交する渡櫓門からなる枡形門の構造を持ちます。
  • 扉の釣金具の刻銘:​高麗門の扉の釣金具には、製作に携わった職人の名が刻まれており、歴史的な価値を感じることができます。 ​
  • 季節限定の楽しみ方:​春には周辺の桜が美しく咲き誇り、花見スポットとしても人気があります。​

📌 トリビア

  • 意外な歴史的背景:​田安門の周辺は、かつて「田安口」または「飯田口」と呼ばれ、上州方面への道が通じていたとされています。 ​
  • 知る人ぞ知る情報:​門の前の土橋は、千鳥ヶ淵と牛ヶ淵の水位調整をしていたと伝えられています。 ​
  • 著名人との関係:​享保15年(1730年)、八代将軍徳川吉宗の第二子・宗武が田安家を創設し、その子・松平定信(白河楽翁)もここで生まれました。 ​

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